戻る時

「先輩お待たせし……おかえりなさい……逢花さんっ」

遥は私の前で立ち止まると、涙を浮かべてこう言った。


「どうしたの?大丈夫?」

「だって先輩……ジャージ……」

「遅刻しそうだったからこれでいいやってなって……」

「な……なんでもいいです!とにかくおかえりなさいっ!先輩っ!」

「うん。ありがとう遥」

「みんなが待っています!いざ、部室へいきましょう?」


 私は、帰ってきたんだ。

ゆっくり廊下を歩いてやがて部室に着くと私はゆっくり扉を開けた。


 私の姿が見えた時のよく知る後輩が見せた顔を、私は忘れない。


 歓喜に満ちた顔をしていたから。

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