私を助けたのは。

「お久しぶりです!今は……私の知らない名前で活動してるんでしたっけ」

「私を、知っているの?」

「知ってるも何も中学時代、演劇部で一緒だったじゃないですか!」

「まさか……」

「思い出してくれました?先輩、いや、逢花さんっ」

「……遥」

「急に学校からいなくなるなんて信じられなかったですよ?先輩がいない部活は、なんだかしんみりしちゃって」

「ずっと曲を作っていたから」


 私を留めたのは、何の因果か、私の後輩の遥だった。

昔は髪を短くしていたから、全然気づかなかった。


「大先輩の死は、絶対逢花さんのせいじゃないですからね!絶望しちゃっても、逢花さんを素直に認められたらよかったのにって思うんです……」

「慰めてくれるんだ。ありがとう」

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