第七話 金の操り人形

七星 由美の心は次第に携の富への欲望に支配されつつあった。彼女は自分の美を磨き、社交的な振る舞いを通じて携に近づく一方で、心の奥底では次第に彼の持つものすべてに対する渇望を募らせていた。


ある日、由美は教室で自分のノートに何かを書き込んでいた。その横顔には、真剣さと共に強い意志が浮かんでいた。彼女は携の家からの贈り物を考えながら、どれだけの努力をしても彼から得られるものには限りがあると感じていた。


「私、絶対にあの宝石を手に入れるんだから…」由美は小さな声でつぶやいた。その目には、自分の計画に対する執念が色濃く映っていた。


次の日、放課後。由美は携に声をかけるために、彼のロッカーの近くで待っていた。彼女の心は、彼との会話を通じて富を引き出す計画を立てていた。携がやってきた時、由美はわざとらしく笑顔を作りながら話しかけた。


「携くん、こんにちは。実は、今日はお願いがあるんだけど…」


携は少し驚いた顔で由美を見た。「何かな?」


由美は、わざと心配そうな表情を浮かべながら言った。「実は、私、クラスでの発表のために必要な資料を作っているんだけど、どうしてもお金が足りなくて…」


「そうなんだ。どれくらい必要なの?」携は気を使いながら聞いた。


「まあ、少しだけ…」由美は少し控えめに言ったが、心の中ではできるだけ多くの支援を引き出そうとしていた。


携はしばらく考えた後、「分かった。何とか手配してみるよ。」と答えた。その言葉に由美は内心で歓喜した。


数日後、携は由美の頼みに応じて、金銭的な支援をした。由美はそのお礼として、心から感謝するふりをしながらも、内心では携が自分の期待に応えてくれたことに満足していた。


その夜、由美は自分の部屋で、携から受け取ったお金で新しいメイク道具を購入する計画を立てていた。彼女はその商品のカタログを眺めながら、どれだけ豪華なアイテムを手に入れられるかに思いを馳せていた。


「これでまた私の美しさが一段と引き立つ…」由美はその時の興奮を噛みしめながら、メイク道具の一覧を見つめた。彼女の欲望は、もはや単なる美への憧れを超え、携の富そのものに対する渇望へと変わっていた。


さらに数日後、由美は再び携に接触し、彼との関係を深めようとした。彼女は一層積極的に話しかけ、学校のイベントやクラブ活動に誘うなどして、自分と携の距離を縮めようとした。彼女の行動は、周囲の生徒たちにも次第に影響を与え、携の富に対する関心が高まっていった。


「携くん、今度の週末、一緒にショッピングに行かない?」由美は笑顔を作りながら提案した。「私、新しいコスメを試してみたくて。」


携は少し考えた後、「そうだね、楽しみにしてるよ。」と答えた。由美はその言葉に内心で喜び、次第に携との関係を計画的に利用しようと決意した。

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