病弱聖女は司教を追い詰める
「この数は無理だろ」
敵の言う通り魔力量がだいぶ減っている
まぁジャッジメントソードは魔力消費が比較的に少ないのでまだ使えるが切り落とさなければ復活する敵、増えてくる敵相手にどれだけ持つか分からない
「私は聖女なのだけど」
「信じるわけが無いだろ」
「聖女を騙る愚者めが我らが……ぐぁっ」
呑気に喋っている聖騎士を光の剣で貫く
今は戦闘中、油断大敵
「話している最中に襲うなどやはり」
「知らないよ」
無数の光の剣が襲い掛かる
欠損を狙うが腕や足より胴体の方が狙い易い
魔力を使わせるつもりで聖騎士に深い傷を与える
殺す気は無いから首や頭などは狙わない
腕を切り落としても突っ込んでくる
「アンデットか何か?」
「まだだ我らはまだ……」
低い位置に光の剣を飛ばし足を切り裂く
2人の方を見る
苦戦していたら手助けをするつもりで見たがその心配はないようだ
レオナルドさんは圧倒している
素早い攻撃を軽々と躱し鎧を何度も切る
「くっそが!」
相手も攻撃を避けて攻撃を繰り出す、鋭く素早い攻撃
それを容易く防ぎ剣を弾く
「くっ」
「終わりだ」
素早く重い一撃で鎧ごと両足を切り裂く
大きな音を立てて倒れる
その後に剣を持つ利き手も切り裂き終える
「さて、後は雑魚だけだな」
……流石、強い
結構強そうな敵だったのに物ともしていない
レオナルドさんには傷1つ付いていない
アルトの方は拮抗しているように見える
互いに攻撃を避け合い攻撃し合っている
「くたばれ!」
「負ける訳には行かないんでね!」
拳を剣で受けて上手く逸らして受け流す
「なっ……」
体勢を崩した相手の腹に拳を叩き込む
そして怯み隙が見えた瞬間、素早く腕を切り落とし流れるように片足も斬る
これで動きは止まる
「もう動かないでくれ、人を斬るのは苦手だ」
「甘ちゃんが!」
「甘ちゃんで結構、慣れたくは無いんでな」
戦い終えたアルトも遅れて私の元に合流する
アルトは息が切れている、拮抗していたからだろう
合流したアルトとレオナルドさんにヒールを掛ける
「ありがとうございます」
「助かる」
私に襲いかかっていた聖騎士やシスターを2人が切り裂く
戦っていて分かる
敵が増えている様子は無い
時間が掛かれば他の教会から援軍が来るかもしれない
だがそれよりも先に兵士や騎士の援軍が来る
「もう増えないようだな」
「無限に増えるのかと思いましたよ」
「援軍が来る前に押し切りましょう」
欠損の負傷をした人が増えてきた
彼等はもう戦闘に復帰出来ない
どんどん数が減っていく、攻め切れる
2人が剣で切り裂き遠慮無く光の剣で貫いていく
そして数人となった後彼等は降参する
「降参する!」
「もう許してくれ」
「武器を捨てろ」
「わ、分かった」
彼等は武器や防具を放り投げる
物量で押し切れなかった彼らにもう勝ち目は無い
負傷者を確認する
大量に居るが今治療する訳には行かない、今治療したらまた戦う事になる
ヒールの力を抑えて彼等の止血だけをする
死なれては困る
「司教が居ません!」
周囲を確認していたアルトが叫ぶ
「ちっ、逃げたか」
戦闘に紛れて逃走したようだ
他の教会に行かれると面倒、また同じような戦闘になる事が予想出来る
……教会内か外か……外だとしたら見つけるのは厳しいかも
人混みに紛れられると見つけるのは困難になる
戦闘が始まってから結構時間経っている
いつ逃げ出したか分からない以上今から探して見つけるのは現実的じゃない
「騎士に伝えて捜索するか」
「そうですね」
「アルト連絡だ」
「はい」
アルトは魔法を使い始める
……連絡で魔法?
「魔法?」
「通信する魔法だ。兵士や騎士などの殆どが使える」
「そんな便利な魔法が」
私は聖女の魔法以外には詳しくない
既存の魔法もほぼ知らず最近作られた魔法など全く知らない
「結構最近だ」
「レオナルドさんは使わないんですか?」
「必要な時は使うが基本は使わないな。魔力も使うしな」
「成程」
……魔法だから魔力使うよね
魔力の保有量には個人差がある
便利だが魔力を使うなら本当に必要な時じゃないと使うのを渋るのは分かる
アルトの連絡が終わるのを待つ
その間に周りを見渡す
降参し大人しくしている聖騎士に話しかける
「司教がどこに行ったかわかる?」
行き先を都合良く教えてくれないかなと思って話しかける
「分からない、居ないなら逃げたんじゃないか?」
……まぁ分からないか
彼等は戦っていた
緊急時に行き場所がある事を知っているでも無ければ何処に行ったかなんて分からないだろう
そもそも緊急時に行く場所を周りに伝えているとは思えない
「教会内に逃げ込んでる可能性は……」
「さぁな、司教様の部屋はあるがそこに行ったかは知らん」
「おい」
他の聖騎士が止めようとする
抵抗なく情報を漏らしているのをヤバいと思ったのだろう
彼の言ってる事が諦めているからの真実なのか嘘なのかそれの判別は難しい
「教会に来た事ある人間なら詳しくなくとも知ってる程度の情報だろ」
「確かに……そうか」
「レオナルドさん、司教の部屋の場所は分かりますか?」
流石に場所までは吐かないだろうと思いレオナルドさんに聞く
少し考えているポーズを取った後思い出したかのように言う
「……あぁ確か教会の一番奥だったはずだ。アルトの連絡が終わったら向かうか」
「向かいましょう」
「終わりました。すぐに騎士が周囲の捜索を行います。えぇっとどうかしましたか?」
アルトが連絡を終えて合流する
「司教の部屋に向かいます」
「……わかりました」
3人で司教の部屋に向かう
レオナルドさん先頭、アルト最後尾で警戒しながら進む
私も魔法が使える準備をしておく
襲われる事は無く順調に司教の部屋まで着く
戦闘員は教会の入口付近で倒れているのが全員なのだろう
にしても逃げ込むなら誰も居ないのは不気味に感じる
……外れかな
ここには居ないんじゃないかと思い始める
ただ司教の部屋なら何かしら情報があるかもしれない
「ここで待ってろ」
「はい」
「分かりました」
レオナルドさんが扉を蹴り飛ばして中に入り確認する
外で待機して何かあったら直ぐに入れるように準備する
「まさか居るとはな」
私も中に入って確認する
部屋には司教が居て何かをしている
扉を蹴り飛ばした音に気付いてこちらを見ている
「貴様ら何故ここに」
レオナルドさんが素早く接近して司教の足を切り裂く
司教は足を失い倒れ込む
「話は後だ」
「ふざけるな! 許さん……」
倒れた司教は箱を天に掲げる
真っ白な箱、模様も描かれている
……あれは?
レオナルドさんが素早く司教の腕を切り落とす
箱は空中で静止する
見た目は小さい箱、何か模様が描いてある様だが上手く見えない
ただ普通では無いと分かる、普通の箱は空中に静止する事は無い
「ちっ、アーティファクトか。アナスタシア防御魔法!」
「はい! 私は拒絶する、悪しき者を、恐ろしき敵を私は守護する、正しき者を、勇敢なる仲間を
私は防御系の魔法の詠唱をする
レオナルドさんが焦るのなら何かヤバい物なのだろう
防御魔法の詠唱が終わるとほぼ同時に真っ白な箱が開かれる
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