幼馴染に毎日召喚されてます
涼月
第1話 負けたら召喚ね
「ねぇ、まひろ〜」
ポニーテールに丸眼鏡。
弾むように歩いて来ると、俺の前の席に座り込んだ。
「じゃんけんしようっ」
「やだ」
「いいじゃん別に〜」
「めんど」
「負けるからでしょ」
「負けねえし」
「じゃあ、じゃんけんぽん」
ついつい条件反射でパーを出した。
「くふふふ。また私の勝ちー」
くそっ。また負けた!
何を隠そう、俺はひなこに一度も勝った事が無い。
幼稚園からずーっと。
もう一度言う。
幼稚園からずーっと。
腐れ縁だ。
「ねぇ、せっかくだからゲームしよう」
「やだ」
「えー、いいじゃん。じゃんけんで負けた方が、勝った方のお願いを一つ聞くの」
「お前、俺に何やらせる気だよ」
「別に〜。まひろが勝てば、私がまひろのお願いを聞いてあげるんだから、条件は一緒だよ」
そう言いながらも、ぜってぇ俺が負けるって思ってやがる。そんな手にまんまと乗るわけねぇだろう。
「はい、じゃんけんぽん」
うっ、我ながら馬鹿すぎる。
条件反射って怖い。
思わずグーを出した。
「うははっ。まひろの負けー」
まんまとやられるわけがねぇなんて、どの口が叩いてるんだよ。全く……
撃沈した俺は、仏の顔で聞いてやった。
「何でございましょう、ひなこ大魔王様」
「魔王じゃ無くて魔法使いがいいな。あ、いい事思いついた」
いい事じゃなくて、碌でもない事の間違いだろ。
「じゃんけんで負けたら、召喚されるって事にしよう」
「ファンタジー脳の奴はこれだから」
「脳筋のあんたよりは良いでしょ」
言いたい放題言ってくれるぜ。
まあ、こういう奴だと言う事は良くわかっている。そして根に持つ面倒くさい奴だってことも。
「で、ひなこ大魔術師様は召喚獣に何をご所望で?」
「うむ。脳筋のまひろにぴったりのお願いだよ。一緒に帰ろう」
えっーと、それの何処に脳筋要素が?
「学園祭までに仕上げたいから」
「何を」
「油絵だよ」
「なる」
ひなこは美術部員だからな。
「キャンバスを家に持って帰りたいってことか」
「そう。だから、私の鞄持ってね」
やっぱり、俺を荷物持ちに使う気満々だったんだな。
まぁ、でも、ひなこの絵は好きだからな。
「へいへい」
「違うでしょ。『はい。ご主人様の仰せのままに』でしょう」
「……」
こうして、俺の受難!? の日々が始まったのだった。
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