ナミミの帰還(ナミミ視点)


 ナミミ達3人は、魔王の手により前線まで送り届けられた。


「……前線の砦、ボス級の魔物達に囲まれていた時は流石にちょっとびっくりしましたね」

「ホントよナミミ! よく考えたら、魔王の許可なかったらアレと戦闘になってたってことじゃない? 私達だけじゃ死ぬわよね、アレ。ね、ツーシ?」

「はい。尻尾が冷えましたね……」


 ナミミ達が送られた先は、前線の砦であった。

 より正しく言うのであれば、魔王軍の最前線の砦であり、重要拠点であり、サイクロプスやデュラハンといった強力な魔物がひしめく魔境であった。


 当然、ムーンフォールのバニーであるナミミ一行に対し魔物達は殺意を向けてきた。そう言う風な習性にしている・・・・らしい。同行していた魔王が「んむ、良きに計らうのじゃ」と一声かけてくれなければ、あの魔物達はナミミ達を襲いかかってきていただろう。

 バニーではないナミミは勿論、バニーであるサナチとツーシでさえ、無事では済まなかっただろう。腕の1、2本を犠牲に逃げられれば御の字、最悪全滅するような戦力だった。


 その後、魔王に見送られて砦を出てムーンフォール方面に向かった一行は、一日後に無事ムーンフォールのバニーと接触。斥候の赤バニーと共にムーンフォール側の前線基地に行くと、簡易施設の基地でハサミと会うことができた。


 掘っ立て小屋な司令官室にてハサミと対峙するナミミ達3人。ハサミの肌は妙につやつやしていた。


「母様……」

「うむ。無事、とは言い難いが、生きていて何よりだ」

「今なら分かります。その肌艶。父様と良い事ぴょんぴょんしたからなんですね?」

「分かるか。その通りだ」


 うむ、と頷いてから、今度はじぃっとナミミを見るハサミ。


「む? てっきりコガネがそうかと思ったのだが……お前達?」

「あ、大丈夫です。その通りです。コガネさんが一番です。ね、二人とも?」

「ハサミ様。ナミミは一人では抑えきれません。コガネだけだと即枯れます」

「サナチ様の仰る通りです。……これについては後程詳しく報告しますわ、ハサミ様」

「……なるほど。王族の血がそうさせるのか? 我が娘は余程・・のようだ」


 やれやれ、と肩をすくめるハサミ。


「しかしそれでは尚更コガネはどうした? ここに居ないようだが」

「はい。今は魔国での協力者の元に居ます。後日合流する予定です」

「ふむ……? そうか。あちらで一月も生活していたのだ、協力者くらいはいるか。礼をせねばなるまいな」

「あ。ではこの前線基地の近くにあるごみ捨て場ダンジョンの所有権を認めて貰えませんか? 第三勢力として独立したいんです」

「……うん?」

「ナミミ様。話が性急すぎてハサミ様がついていけませんよそれじゃ」

「おっと。気が急いてしまいました」


 ツーシに言われて、姿勢を正して改めてハサミに向き合うナミミ。


「私はロニーと……イロニムと一緒に無害な第三勢力として独立します!」

「……うん??? ナミミ。状況が分からない。母に一から説明しなさい。ツーシも事情分かっているようだから補足を頼む」

「あ、はい」


 まぁそうなりますよね。とツーシは肩をすくめて、ナミミの発言を説明していった。


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