『ニンジン召喚2』の検証





「それでは『ニンジン召喚2』の検証を始めましょう」

「はーい」


 ようやく新スキルの検証が始まった。


「まず普通のニンジンやキントキは引き続きMP1で出せるみたいですが……ニンジン系魔法については問題なく使えますか? 使用MPも併せて見てみましょう」

「うっす。んじゃ、ニンジン召喚! アクアニンジン!」


 森なのでぶん投げても大丈夫な水属性のニンジン系魔法を使う。

 MP消費は10の時と変わらないようだが……と、うぉっと。


「なんかステータスウィンドウみたいな、一覧リストが出てきた」

「リストですか!? 私には見えませんね」

「俺にだけ見えるタイプか」


 そこには今まで召喚したニンジン達の履歴があった。

 ……直近50件で、今出した『アクアニンジン』の他は全部『ニンジン』と『キントキ』で埋まっているな。今朝出した商品とオヤツの分だ。


「念じたり触ったりで選択できますか? 見えるだけですか?」

「えっと。……おっ? あっ、これリストの項目を選択すれば出せるみたいです」

「なるほど。欲を言えば呼び出せるモノ一覧の方が良いですが、少し便利ですね」


 念じるでも触るでもいいらしい。

 試しに履歴の一番上、アクアニンジン出そうとしてみると、ちゃんと同じだけのMPが消費されて、もう一本のアクアニンジンが現れた。

 ふーむ。カラオケの電子目次デンモクで履歴から選択できる感じ。


「コガネさん。他にはどういう機能が増えたか、使用者の感覚でわかりませんか?」

「ちょっと待って……えーっと」


 思考を脳内、スキルに集中させる。……んんん。ハッ!?


「……そういや、これ履歴から出せる意味ってなにがあるんだ?」

「言われてみれば、そのまま出せるだけじゃ別に変わらないですね」


 そう。履歴一覧が出ていて名前が分かっていれば、普通に新規で出すのと何にも変わらないのだ。

 つまりただのメモ……!


「逆ですコガネさん。『その機能で使える何か』があるのかもしれません。例えば、完全に同じ状態のニンジンを出せるとか、そもそも召喚自体に何か別の機能が増えたとか」

「ほほう」


 とはいえ、現状ニンジン召喚で出せるものを完全に同じものが出せたとして、だからなんだ、という話……召喚自体の別の機能、って方に着目するべきだろうか?


「幸いMPはたっぷりあります。色々試してみましょう!」

「そうだな。いやぁ、こういう検証はナミがいてくれて心強いよ」

「そ、そうですか!? まぁそのっ、こ、恋人ですから、多少は役に立ちますよ!」


 それ恋人関係ある???



 そして、色々試してみた結果。新たに俺のニンジン召喚には以下の性能が追加されていた。


 ・ニンジン召喚(呼び寄せ)

 ・ニンジン送還

 ・お気に入り登録(10件)


 である!


 まずニンジン召喚(呼び寄せ)。

 今まではニンジンを新たに生み出していただけなのだが、それを呼び寄せることができることが判明したのだ。ただし、履歴にあるニンジンに限る。


 ニンジン送還は、召喚(呼び寄せ)したニンジンを元の場所に戻す事ができる機能だ。

 呼び寄せてないニンジンの場合は、消える。勿論これも履歴にあるニンジンに限る。


 そして履歴から10個だけお気に入り登録ができ、新たに呼び出して履歴の内容が増えても一番下で消えずに残るようだ。


「ニンジンにメモを書けば瞬時にふみを送れますね。ニンジン型の便箋なら腐ることもないでしょう」

「おおぅ……やっぱりナミは頭いいなぁ」


 そういう使い方がすぐ思いつくあたり、流石ナミミ様と言わざるを得ないぜ。

 あ、今のは心の中で言っただけだからほっぺつねらなくていいからね!




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