一緒に魔王を討伐した勇者に婚約者を寝取られた俺は、開き直って自由に生きる〜今更戻ってきてくれと言われても、すべてがもう遅い

水間ノボル🐳@書籍化決定!

第1話 勇者に婚約者を寝取られる

 ——長かった戦いが、終わった。


 俺たち、Sランクパーティー「栄光の剣」は、ついに魔王を倒した。


「やった! 俺たちは世界を救ったんだ!」


 パーティーのリーダーで勇者の、アリアスは勝利の雄叫びを上げた。


「ああ……ついに俺たちはやったんだ」


 重騎士でタンクの俺、リュード・エアスタインは倒れた魔王を見ながらつぶやく。

 この世界に転生してから20年。やっと過酷な戦いが終わった……


「リュード! 俺たちはやったんだっ!」


 魔王討伐——あまりの感動に動けなくった俺に、アリオスは抱きつく。


「これは現実だぞ、リュード! はははっ! 俺たちは英雄だ——」


 英雄。

 卓越した能力を使って、世界を救う者を言う。

 人々は英雄を讃えるだろう。

 しかし、一度英雄になった人間は、一生、英雄なのだろうか?

 英雄はどんな酷いことをしても、許されるのだろうか?

 心が壊れてしまった俺は、今も英雄なのだろうか?


 ……まさか感動的な勝利の後に、あんなことがあるなんて、この時は想像もできなかった。

 

 ★


「はあはあ……あんっ!」

「おうふ……気持ちいい」

 

 魔王討伐後、俺は王都にある自宅に帰ってきた。

 子爵令嬢で婚約者の、ファルネーゼ・バルトフェルトが待っている家に……

 平和になった世界で、愛するファルネーゼと結婚して、子どもを作って、幸せに暮らそうと思っていた。

 しかし、それは俺の思い込みだった——


「ファルネーゼ……いったい何をしてるんだ?」

「えっ? リュード? どうしてこんなに早く……」


 信じれられない光景だった。

 俺の婚約者ファルネーゼと、勇者のアリオスが、ベッドの上にいた。

 しかも二人とも裸で——


「ゴブリン討伐が早く終わったから帰ってきたんだ」

「あ、そ、そうだったのね……」

「……ファルネーゼ、あと、アリオス。キミたちはいったいに何をして——」

「バレたならしょうがないな」


 やれやれ……とため息をつきながら、アリオスは立ち上がってパンツを履いた。

 目の前の現実を受け入れられない俺は、脳がショートしてしゃべれなくなる。


「リュード、見ればわかるだろ? 俺はお前の婚約者を寝取ったんだ」

「な、なんだと……」

「言い訳するつもりはねえよ。ははは」


 俺をバカにしたように笑うアリオス。

 心底、俺を見下した目をしている。


「アリオス、キミは俺の仲間じゃなかったのか?」

「仲間? お前みたいなノロマなタンクが、俺の仲間なわけねえだろ。魔王討伐の壁役で仕方なくパーティーに入れてただけだ」

「一緒に、魔王を倒して……」

「一緒に、じゃねえよ。勘違いすんな。魔王を倒したのは俺の聖剣があったからだ。お前はただ壁として立っていただけじゃねえか」


 アリオスは金髪の頭をポリポリかきながら、吐き捨てるように俺を罵倒する。


「お前じゃ満足できないから、ファルネーゼは俺と寝たんだよ」

「ファルネーゼ……キミは」


 俺はファルネーゼのほうを見る。

 まるで汚物を見るように、顔をしかめている。 

 こんなファルネーゼは見たことなかった。


「……そうね。アリオスの言う通りよ」

「そんな……」

「リュード、アンタと婚約を破棄するわ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

★あとがき


この話は連載候補です。


「続きを連載して欲しい!」

「この後のざまぁが見たい!」


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