エピローグ後編・異世界へ
転移魔法とは様々な種類があれど、基本的には空間魔法を軸に発動される魔法であり、一瞬で自分の望んだ場所へと移動が出来る非常に便利で有用な魔法である。
ただし発動難易度は非常に高く、根本的に発動するだけでもを超一流の魔法使いの全魔力+賢者に匹敵する程の知識と魔術理解が必要であり、転移魔法を発動できる魔法使いは世界に1000人もいないであろう。
それ故に研究もほとんど進んでおらず、オーソドックスな転移魔法であり、最も使われている【一度自分が言ったことのある場所の座標に魔力拠点を置いて転移する・指定空間転移魔法】以外はブラックボックスめいてしまっている魔法である。
その中でも転移魔法・ランダム転移は非常に扱いが難しく、指定空間転移魔法含め数多の転移魔法の中でも非常に少ない魔力使用で行使できるが転移先が文字通り完全ランダムであり、法則性もなく深海の中や火山の中、地面の中等に転移すれば最後、確実に死の運命に晒される控え目に言ってクソな魔法である。
使えても使わない魔法使いがほとんどであり、発動したという事例すらも数例のみの正にブラックボックスという言葉が相応しい何も解明がされていな魔法である。
そんなランダム転移を発動した一人の男がいた。
彼の名前はマグニ。
ローズ王国に建国者であり、史上最高の賢王にして史上最強の魔法使いにして人の善性を信じすぎた末に全てに裏切られた愚かで優しい男であった。
そんな彼はアーシンから奪った魔力と自分の現時点で使える残り少ない魔力全てを消費してランダム転移を発動し、そのまま気を失ってしまった。
そして丁度その時だった。
とある落ちぶれた王国が禁忌である勇者召喚の儀式を行っていた。
勇者召喚とは異世界から界渡りに耐える適性を持った人間を強制的にこちらの世界に転移させる魔法である。
そして勇者召喚とは基本的にはビッグイベントの一つである為に神が面白がって加護を授けたりスキルを与えることが多いために本来であれば力を持たない一般人でありながら禁忌である異世界召喚をする価値のある希少な存在に代わるのである。
さて、話を戻してランダム転移についてである。
このランダム転移という魔法、実は現在発動している転移魔法に引っ張られるという性質を持っている。
そして今回偶々、勇者召喚という形で転移魔法が発動していた。
ランダム転移は現在発動している転移魔法に引っ張られる性質を持っている。
現在勇者召喚という転移魔法が発動している。
この二つが揃えば後は論じる必要もないであろう。
マグニが発動したランダム転移は勇者召喚に引っ張られて、勇者召喚された場所に転移する筈であった。
本来ならば・・・・・・。
そこで幸か不幸かマグニの強靭な肉体がとある別の方向へと左右してしまった。
世界と世界を渡る為には界渡りと呼ばれる世界と世界の間に流れる膨大な魔力であり混沌である虚無の空間を渡る必要がある。
それは一瞬であり一生であり一であり全であり無限である。
この界渡りに対して耐性を先天的に持った人間は極一部というレベルが霞む程少ない。
そんな耐性であるが実は後天的に獲得することが可能である。
マグニの鍛え上げられた肉体と精神力と魔力の器は後天的に界渡りの耐性を獲得していた。
結果として界渡りに耐えれる現地人という存在が勇者召喚に誤作動が発生させてしまった。
誤作動が発動した結果、界渡りの適性を持った現地人を異世界へと強制的に転移させるという、所謂逆の効果を発動してしまう。
かくして一切意図せぬ形でマグニは界渡りを行い、異世界へと転移してしまったのだった。
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