どんな君でも、僕はありのままの君を受け入れる。

みずき

第1話

『ゆるちゃんってお顔ぶっさいくじゃないっ?』

『あっ、ほんとだ、ぶさいくちゃんだぁwww』

『うわっきしょっ笹木に告られて調子乗ってるんだけど、ブスが!』

『無理矢理告白させられた笹木が可哀想www』

『一緒に遊んであげるよブサ子ちゃぁんっwww』

『えー見てよ、ブスがゴミ箱漁ってるよっ!』

『漁られてるゴミ箱が可哀想www』

いやっやめて、やめてっ!助けてっ!誰か、助けて!辛いよ………!

小さい頃から、見た目で色々ばかにされてきた。

幼稚園の頃から、ずっと仲間はずれだった。

ずっと、蹴られたり殴られたりしてきた。

自分に自信がなくなって、誰もが自分を嘲笑っていると感じた。

好きでやっていたモデルや子役もやめた。

いじめへの対抗手段が分からなかった。

だから、逃げたいと思った。

四年生の冬、私の誕生日の数週間前に、私、柚木冬流ゆずきゆると双子の兄である柚木冬伊ゆずきゆいは両親と一緒に引っ越して転校した。

冬伊は、私とは違ってイケメンで、そして人気者だった。

だから、兄にはいじめのことを言わなかった。

だってもし言ったら、シスコン冬伊は、きっと私を助けようとする。

そしたら、きっと彼もいじめられる。

それだけは、絶対に嫌だ。

だって冬伊は私とは違って顔が良いし、人気者で、好かれているから。

そんな冬伊を地獄に突き落としたくない。

冬伊には今の生活を、楽しんで欲しい。

いじめられるのは、私だけでいい。

二人分の痛みなんて、いらない。意味がない。

でも、出来るならば、いじめられないようになりたい。

だから私は、クラスの人気者女子だった鈴木昭子すずきあきこを真似することにした。

少しでも、友達が欲しくて。

少しでも、人気者になれるように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る