縄文時代後期の公文書集

曇空 鈍縒

第1話

 北国からの使者に関する報告書

 第五警戒隊隊長、アルガ



 昼頃、兵たちが河辺で昼食を摂っている際、基地にて警戒を行っていた兵から、基地に数名の異国人が接近しているとの連絡が入った。


 私は兵を集合させて、昼食を木の下に隠して槍を持つよう指示し、周囲を警戒しつつ基地へと戻った。


 その後、基地に待機していた槍兵5名と、河辺から戻ってきた槍兵15名、弓兵5名の合計25名が基地にて戦闘配置を取り、異国人の到着を待った。


 到着した異国人は3人。肌は白く、背中には大きな革の鞄を背負っており、腰には銅の剣らしき物を保有していた。


 第五警戒隊に配備されている武器で、銅の剣を持つ勢力と交戦することは難しかったため、私は気休め程度に弓兵たちを物見台へと上がらせた。


 鋭い銅の剣を前にしては、槍も兵の首もすぐに切り落とされてしまう。


 私は部隊から最も強い二人を選んで決死隊を編成し、基地の門にて異国人と対峙した。


 銅の剣の切れ味は度重なる戦争で散々味わってきたし、武装し戦いに慣れた異国人の手強さも知っていたので、私は弓兵たちに、何かあったら私たちもろとも異国人を射殺すよう命じていた。


 この際、私と決死隊は輸入品の革鎧を着用していたが、異国人は金属製らしき鎧を着用していたので、もし戦闘になっていたら、私と決死隊は死んでいただろう。


 幸い、戦闘になることはなかった。


 異国人たちは大陸から来た商人を名乗り、私は金属器の購入を持ちかけられた。


 またとない機会だと思った私は、基地に貯蔵されている食料と翡翠やガラスの宝飾品を六つと引き換えに、銅の剣を二本を購入した。(剣は使者に持たせた。手紙と共に送る)


 報告は以上である。





 返信

 ワグ国戦士省大臣


 素晴らしい武器をありがとう。これらの銅剣は我がワグ国の精鋭部隊である近衛隊に配備することが決定された。


 今回の手柄を讃え、第五警戒隊の隊員には褒美として麻の布を送らせていただく。


 良い服でも仕立てられたし。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る