ゲームで敗けたら退学になる学園、ポイント肩代わりで絶対服従に出来る環境、敗北したヒロインを服従させて、ついでに高飛車クズヒロインも服従させる、現代ファンタジー

三流木青二斎無一門

ポイント争奪戦



零算れいざん学園がくえん

世界的に普及されているVRゲーム〈Fight/destinyファイト・デスティニー〉専門の学園。

この学園ではポイントが配給される。

十日に一度。

決められたランクに応じてポイントを支払わなければならない。

もしもポイントを支払う事が出来なければ、即退学である。


五月の半ば。

その日はクラス内でのポイント争奪戦が実施された。

必ず一名以上の生徒と戦わなければならないと言う状況。

そこで、ポイントを全損する生徒が現れた。


「う、そ…ッ」


項垂れる生徒が一人。

腰が砕けたのか床に尻を突いた。

彼女の名前は白宮しろみや桃花とき

豊満な肉体が特徴的な女子生徒だった。


「あーあ、御愁傷サマ、これで退学、確定ね」


にやにやと笑みを浮かべる女子生徒。

このEクラスの女王的ポジションに付く鞭野むちの瑪瑙めのうだ。

背の低い幼女体系をした彼女は厭らしい性格をしていた。


「後、一時間でポイントを回収されちゃうわ、私は沢山あるけど、貴方はもうないから、退学になっちゃうわねぇ…」


視界内の画面を確認する。

十二時丁度にポイントの引き落としが発生する。

ポイントが支払われなかった場合、その生徒は即座に退学となる。

これが、零算学園のシステムだった。


「だ、誰、か」


周囲を見回す。

ポイントを失った者に対する肩代わりが存在する。

しかし、殆どの生徒は彼女の懇願に顔を背ける。

自分の払う分のポイントしか残っていなかった。


「じゃあ俺が代わりに払ってやっても良いぜ…ッ」


生徒の一人がそう言った。

約三分の一の生徒のポイントを獲得した鬼怒川きぬかわ万次ばんじだ。


「こいつら雑魚ばっかだったからよ、ポイントが有り余ってんだわ」


と笑う鬼怒川万次。

殆どの生徒達は彼にポイントを奪われて睨んだ。


「じょ、上位組の癖に…」「俺達一般入試が勝てるワケないだろ…」


上位組。

現状、Eクラスのランキング内で上位五名を指す名前だ。

彼らはDクラスよりは弱いが、Eクラスの生徒を蹴散らす程度の実力を持ち合わせて居る、と言う事である。


「あ?なんだよ雑魚ども、勝負してやっても良いんだぞ?」


と。

相手を睨みつけると、生徒達は視線を逸らした。

腑抜けとなった生徒達にしょうもないと鼻で笑う。


「で、白宮ぁ、俺がお前のポイント、肩代わりしてやっても良いぜ?」


改めて、白宮桃花に話を切り出す。


「ほ、ほん、とう?」


鬼怒川万次の方を見ながら彼女は救いを求めた。

笑みを浮かべながら、鬼怒川万次は指を動かす。

そして、彼女のイデアウィンドウに契約書を表示した。


「な、に、…これ」


内容を確認し、絶句する。

それは負担証書であり、簡単に説明を書くと。


・負債者は債務者の命令を遵守する事。

・負担したポイントを返さない限り、この契約は有効。


と言う事だった。

鬼怒川万次の方に顔を向ける。

彼は彼女の顔を見ず、胸元を凝視していた。


「サインをしてくれりゃ、直ぐにポイントは支払ってやるよ…当然、ポイントを返すまで、お前の全ては、俺のもんだからよ…手始めに、コンドームでも買って来て貰おうかねぇ」


卑猥な笑みを浮かべる。

白宮桃花はその契約を手放したかった。


「えぇ?良いの、退学になっても…、ゲームが下手な人間が行き付く先は最底辺な生活なのに、学校に入った理由、語ってくれたじゃない、プロゲーマーになって、両親の借金を返したいって…でないと、あんたみたいな女が働ける場所なんて、女を売る場所しかないでしょ?」


精神的に責め立てられる白宮桃花。

切迫されて、判断能力が鈍くなる。


「それなら、私が肩代わりしてあげよっか?しかも仕事も紹介してあげる、初回ならそれなりにポイントも稼げるだろうし、大丈夫大丈夫、あなたみたいな子も沢山いるから、負け犬の傷の舐め合いだって出来るわ、ねえ?」


近くに居る女子生徒に視線を向ける。

その視線を受けた女子生徒は目を逸らした。

鞭野瑪瑙とゲームで勝負し、敗けた末に彼女の奴隷となった。

女子生徒に、他の男子生徒との奉仕を強要し、ポイントを荒稼ぎしていたのだ。


「で、どうする?鬼怒川が良い?私が良い?それとも…人生から敗退しちゃう?きゃははッ!!」


卑下た笑い声が教室中に響く。

誰も助けてくれない状況。

白宮桃花は絶望を浮かべていた。


「おい、ふざけんなッ!転校生!!お、俺のポイント、返しやがれッ!!」


しかし。

その声を塗り潰す怒声が響く。

周囲の視線は、彼女達から、一人の男子生徒に向けられた。


「…ああ、悪いな、五味山、お前とは、もっと戦っていたかったが…」


首を左右に揺らしながらその男子生徒は立ち上がった。

視界内に映し出されるポイントを確認している様子だった。


「ポイントが0だと、戦っても意味無いよな」


五味山と言う男子生徒。

Eクラスの上位組の内の一人だった。

鬼怒川万次、鞭野瑪瑙、その他二名に次いで、五番目に強い生徒なのだが。


「ひ、卑怯じゃないか、全ポイントを賭けた途端に、強くなりやがって」


「その点に関しては俺も悪かった、最初の試合は操作に慣れなくてな…だけど大丈夫、もう慣れたから、だからありがとう五味山、お前のお陰だ、これからゴミ山に捨てられるかも知れないが、お前の事は忘れないぞ五味川」


「五味山だてめぇ!!忘れてんじゃねぇええ!!」


泣きながら叫ぶ五味山を尻目に、男子生徒は歩く。


「…さて、面白い話を聞いたんだが、ポイントの肩代わり、だったか」


鬼怒川万次と鞭野瑪瑙の二人を見ながら質問する。


「ポイントが〇になった者の代わりにポイントを支払えば…その身柄を自由にしても良いんだな?つまりは鞭野さん、あんたも例外じゃ無いって事だ」


鞭野瑪瑙を指差しながら言う。


「(何…この転校生)」


鞭野瑪瑙は転校生を見ながら言った。

先程、五味山の全ポイントを奪ったらしい。

相当の手練れではあるのだろう。


「え、なに?勝負するつもりなの?この私と?無理無理、だってゲームをやる理由が無いんだもん」


「そうか、それもそうだな」


と。

転校生はあっさり引き下がった。

しかし、ふと思い直した様に言う。


「けれど、確か、このポイント争奪戦では、必ず生徒は自分から一回は対戦をしなければならない、と言うルールがあるんだろう?」


「はあ?それが何?もう五味山と対戦は終わったでしょ、あんたは」


と、五味山の方を見た。

しかし、五味山は首を左右に振った。


「いや…こいつは、まだ自分から勝負をしてない…一度目は俺がカモろうとして対戦して…その後、こいつがもう一度やりたいって…だけど操作に慣れてないから、俺の方から対戦を申し込んでくれって言われて…」


そして調子に乗ってポイントを全て懸けた〈全賭けオールイン〉方式で敗けたのだと、五味山は言った。

つまり、転校生はまだ、挑戦権を使用していないのだ。


「そういう事だ、無論、〈全賭けオールイン〉方式で戦わせて貰おう、勿論、受けないと言う選択肢は無いだろ?」


「…なに?私に勝とうとでも!?いいわ、あんたを負かせて、飼ってあげる、全裸で廊下を歩かせて無様な負け犬って事を教えてあげるッ!!」


「そうか、じゃあ…俺の名前は、遠崎識人だ」


何故、この状況で名乗ったのか。

転校生・遠崎識人は鞭野瑪瑙を見ながら言う。


「新しいご主人様の名前だ、是非とも憶えて欲しい」


と、無自覚にそう煽るのだった。







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