第3話 悪役令嬢の婚約者は王子なら第二

悪役令嬢の婚約者が王子の場合、第二王子の割合は高いのではないだろうか

婚約破棄を言い渡された悲劇のヒロインを救うヒーローが第一王子のパターンがあったりする


または隣国の王(その場合は帝国の皇帝である)

はたまた人知を超えた王(竜王、精霊王、、、)


たいていは婚約破棄した相手より優れた地位や能力のものだ



だから私がこの度、第一王子と面談することになった今も


私が悪役令嬢だという答え合わせにはならない


母もいまだに息災である

健康的な食事や生活習慣、防疫などを両親に助言(おねがい)してやってもらっている


「なにか考え事ですか」


卓の向かいに座った金髪、いや、ブロンドヘヤーというのだろうか。

その少年が私に問いかける


王子様ってたいていブロンドかもしれない

魔力の大小で髪色の濃淡が変わる設定なら黒髪の場合もあるが

王族である彼がブロンドで、王族に近しい公爵家である私もブロンドなのだ

ということは、



卓の下から侍女に小突かれる

いつもは私が黙り込むと口をだす彼女も今回は無口だ



「あっ、申し訳ございません。わたくし考えすぎてしまう癖がありまして、、、」

しどろもどろになりながら謝意を述べようとする


すると彼は目を瞑り顎に手を当て考え込んでいるかのようなポーズをとる


少しの沈黙の後に口を開く


「良いことだと思います」


肯定の言葉を想定していなかったため、ハァと気の抜けた返事をしてしまった


「王族である私や高位貴族の子女である貴女の言葉は、どのようにも切り取られ、解釈されてしまう場合がります」


「良い方向であればいいのですが、悪い方向の場合もあります」


「ですので、自分の発する言葉をよく考える、思慮深いその様子は良いことで、好ましく感じます」



ただ、黙って考え込んでいただけで褒められてしまった


「あぁ、、ありがたく存じます、、、」


うつむきながらもなんとか返答する


「慣れてきたら、考え込んでいるその間をあえて使い、発言の強調や注目に使えたりもします。ですが、、、」


彼はさっそく「間」を使い少し黙り込み、その後笑いながら言った


「緊張しないで、僕たちはまだ子供だよ。いっぱいお話しよう。」


子供らしい明るい声で話しかけてきた。


間を十二分に使ったお手本で私の緊張感を和らげたのだ。


その後は砕けた口調の彼の問いかけに答え、こちらも聞きやすい質問をできるように誘導されたように感じた。



適わない、前世の記憶を持っているとはいえ私は子供なんだとわからされてしまった。




その後、彼の婚約者候補になったと父から聞かされて驚いた。


理由は突拍子な事を言ったりやったりせず、静かに受け答えができたからであるらしい。



つまり「おもしれー女」ではなかったからである。

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