第2話 悪役令嬢の母親は死にガチ
悪役令嬢の母親は死にがちではないか
悪役令嬢が悪役令嬢になる過程で母親が死に愛情が与えられず
父親は甘くなり悪辣な性格になるなんて背景を見たことはないだろうか
前世の記憶を持ち、子供らしくない子供になってしまった私だが
父と母のことは愛している
感情表現が多くない私に愛情をもって接してくれる
この大切な母が死んでしまう可能性があるということ
前世の記憶を自覚した私の最初の恐怖はこれであったと思う
悪役令嬢ものだからといって母が必ず死ぬわけではない
私が悪役令嬢だと決まったわけでもない
どちらかというと母親が死ぬ可能性が高いのは
「継母と義妹に虐げられる系」のほうだ
これだと99%母親は死んでいる
「お嬢様せっかく奥様のお仕事部屋にいられるのに、またモノふけりですか」
お世話係で遊び相手の侍女は、私と二人きりのときより少しだけ丁寧な言葉使いだ
「考えてただけよ、私も将来はお母さまみたいな貴族夫人になるかもしれないの
お母さまの仕事風景をいっぱい見たいわ」
私の声を聴いた母、公爵家女主人は執務の手を止め満面の笑みで顔を向けてくる
「リィル、でもこんなに静かに座ってられるなんて凄いことだわ。
そのうえまだ教育も受けてないのにここまでしっかりした考えを持てるなんて」
うちの子って天才よ~と毎日言ってるらしい
「それに、私にいっぱい会いたいからも理由なんでしょ。
この子ったらいっつも私にべったりなの。素直じゃないのよこの子の愛情表現」
少し図星をつかれ私の顔は仄かに赤くなる、侍女はそれに気付き
「かわいいですね~お嬢さま」
母も続く
「そうね愛らしいわね~」
私の顔はさらに赤くなった
なぜここまで母にべったりなのかというと
母恋しいから、、、は少しある。
でも、それだけではない。
母が死ぬかもしれない
それが病なのか事故なのか他者からの害なのわからない。
さらに、それを防ぐ力もない
だから少しでも、僅かでも、何か母に不調や違和感がないかを確認するしかない
正直なところ、物語的な力でに母を排除されるなら、こんな方法で防げるとは思わない
だが、今の私にはこのようなことしかできない
ああ、そうだ、そう考えると
いなくなるかもしれない母を想う
恋しい気持ちだけで私はここにいるのだろう
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