第10話 依頼完了と報酬のギャップ

ユウト、ミカ、そしてリリィは、街の掃除の依頼を無事に終え、再び冒険者ギルドへ向かった。依頼が完了したため、報酬を受け取るために受付に向かう。


「お疲れさまでした。こちらが依頼の報酬です」と受付嬢が、三人に小さな袋を渡した。その袋の中には、予想以上に少額の金貨が入っていた。


リリィはその袋を受け取り、中身を確認した途端、顔をしかめた。彼女は少し声を荒げて、「これ、どういうことなの?こんな少額でどうやって生活するの?」


ユウトは少し苦笑しながら、「まあ、依頼の内容が簡単だったからな。報酬が少ないのも仕方ないだろう」と説明するが、リリィは納得できない様子で袋を見つめている。


「こんな報酬じゃ、全然割に合わないわ。これじゃ、わざわざ冒険者になる意味がないじゃない」と、リリィは怒りを隠さずに言った。


ミカは少し微笑みながら、「リリィ、商売がしたいってわけ?それなら、ここでの仕事に文句を言っても仕方がないわよ」と軽くつっこむ。


リリィはむくれて、「こんな報酬で満足できるわけがないわよ。これだけのお金じゃ、生活すらままならないじゃない。こんなことなら、自分で商売を始めたほうがよっぽどマシよ」とつぶやいた。


「おい、冗談だろ?」とユウトが驚きながら言うと、リリィは真剣な表情で答えた。「本気よ。こんなわずかなお金で満足できるはずがないわ。商売を始めれば、もっと効率よく稼げるに決まってるわ」


「それにしても、依頼をこなすのがどれほど大変かも分からないのに、いきなり商売なんて難しいんじゃないか?」とユウトが心配する。


「大丈夫よ。お金があれば何とかなるわ」とリリィは自信満々に言い切り、そのままギルドの外へ出ようとする。


ミカは苦笑しながら、「さて、次はどんな依頼に挑戦しようか。リリィの商売話も楽しみだけどね」と言って、三人は再びギルドを後にした。


リリィの口から出た商売の話題は、ユウトとミカにとってはまだ信じがたいことだったが、これからどんな展開になるのか、興味深くもあった。

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