第8話 会長とのお話

 先程助けた少女、葵を地上まで送り、今度お礼がしたいからと、連絡先を交換して家に帰っている途中、電話がかかってきた。


 「もしもし」


 『まさかホントに、女になっておったとは』


 「ホントにって、どういう意味ですか?なんで、急に信じたんですか?前まで、結構疑ってたじゃないですか?」


 『儂も、お主の姿を見たからな』


 「見た?俺、会長と会ってないですよ」


 『何を言っている、配信に映っておったじゃないか』


 「配信?」


 『まさか、お主、気づいておらんかったんか?お主が今日助けた少女が、配信をしおって、お主の姿がしっかり映っていったぞ』


 「ま、まじか…」


 まさか、葵が配信者やったとは。もう、ここまでバレたらわざわざ隠す必要もないな。


 「はぁ、もう仕方ない。切り替えよ。それで、前にお願いしたことは、ちゃんとできてるんですよね?」


 『あぁ、戸籍とかも変えておいたぞ』


 「ありがとうございます」


 探索者協会会長には、かなりの権力があり、戸籍を変えるのなんか、チョチョイのちょいだ。


 『それより、お主には色々聞きたいことがある。明日、協会本部に来い』


 「えぇー、明日、高校の入学式があるんだけど」


 『お前は、何を言っている?学校の入学式より、探索者協会会長の呼び出しの方が優先度が高いに決まっておるやろ』


 「ハァー、仕方ない。じゃあ、明日の10時にそっちに行く」


 『ちゃんと来いよ』


 「へいへい」


 電話を切った俺は、すぐに家に帰宅した。


 翌朝、俺は会長の下へと向った。協会本部に着いた俺は中に入り、受け付けで会長に呼ばれていることを伝えた。受付の人は俺を見て、目を見開いて驚いていた。まぁ、こんな見た目だしな。


 会長がいる部屋を伝えられ、エレベーターを使い、そこまで向った。エレベーターで30階まで行き、廊下を進んだ先に会長がいる部屋があった。ノックもせず、部屋に入った。


 「こうやって、会うのは久しぶりだね」


 「ノックぐらいしろ、馬鹿者が」


 「まぁ、そんな怒んなって。それより、何か聞きたいことがあるんでしょ」


 「ああ、お前が女になった理由だ」


 「それはね、魔物に刺されたら、こうなった」


 「もっと詳しく説明せんか」


 それから俺は、虫型の魔物に刺され、気絶し、起きたらこの姿になっていたことや、魔法が使えるようになったことも詳しく説明した。


 「まー、こんな感じかな」


 「よくわかった。それにしても、お主が魔法を使うのか、考えただけでも恐ろしいな」


 「今の俺なら、SS級ダンジョン攻略できるんじゃね?」


 「確かに、今のお主やったら攻略してしまうかもしれん」


 「そういえば、ここに魔力測定機があったよね?測らせてよ」


 魔力測定機とは、自分が持っている魔力量を測ることができる機械だ。


 「ああ、あるぞ。儂もお主の魔力量は気になるかのぅ。使っても構わんぞ、そこの棚に置いてあるだろ」


 「どれどれ〜、あっこれか!」


 棚から魔力測定機を取り出し、机の上に置く。探索者の平均魔力量は500ぐらい、A級は1500程度、S級は5000以上はある。ちなみに、最高値はアメリカのS級探索者、リチャードが15000を記録している。


 「じゃあ、早速」


 測定方法は、測定機に魔力を限界まで注ぐだけだ。


 「うぉぉおお」


 全力で魔力を注ぐが、まだ限界は来ない。しばらく注ぎ続けると、限界が来たので魔力を注ぐのを止めた。


 「どんぐらいかな?前に測った時は、700ぐらいしかなかったからな。ねぇ、いくらだった?」


 会長が俺の記録を見て、動かなくなった。俺も会長の方へと回り込み、結果を見た。


 「うわっ、最高記録じゃん!ヤッター!」


 「ま、まさか、ここまでとは……こんな記録があり得るのか?あのリチャードですら、15000だぞ………500000なんて、ありえるのか……?」




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