TS少女はダンジョンに行く

@yyotyo

第1話 なんか美少女になった…

 「さて、今日もダンジョンに行くか」


 ダンジョン、それは人類を大きく成長させた。例えば、ダンジョン内にいる魔物を倒した時に得られる魔石は、エネルギー不足を解消し、ダンジョンに入ることによって、人々は超常の力を手に入れたりした。


 そんな、ダンジョンに入り、魔物を倒して魔石や、ダンジョンに眠る不思議な力を持つ道具、魔道具と呼ばれる物を回収する者達を探索者を呼ぶ。


 「相変わらず、人がいねぇーな」


 俺は今、近所にあるダンジョンを探索している。そして、俺が住んでいるところはド田舎なのだ。だから、人が全然いない。


 過疎ってんな〜なんて考えていると、前方からワイバーンの群れがやって来た。ワイバーンは、単体だとB級の魔物だが、群れだとA級の魔物として扱われる。


 本来、A級の魔物をソロで討伐するのは、A級探索者だとしても、不可能に近い。だが俺からすれば、A級の魔物は相手にならない。


 近づいて来たワイバーンを、手に持っている木刀に魔力を纏わせ、叩き斬る。他のワイバーンも同じように斬っていく。3分ほどで、ワイバーンを倒しきった。


 「ワイバーンの魔石、10個か。そろそろ、魔石売りにいかないとな」


 魔石を買い取ってくれるのは、探索者協会だけだ。ここはド田舎なので、その探索者協会までの距離が遠いから、1週間に1回ペースでまとめて魔石を売りに行っている。


 「もう少しだけ、探索するか────ッ」


 突如、首から激痛が走った。痛みとともに

 意識が朦朧としていき、俺は気絶した。







 「──────ハッ!、あれ?どうなったんだっけ……………あっ、確か何かに刺されたんだった」


 起き上がった俺は、そこで違和感がした。まず、目線が少し低い。それに、視界の端に銀色の糸みたいのが映っている。胸にも少し違和感がある。


 「な、なんだこれ…!」


視界の端に映っている物を触ってみる。すると、少し頭皮が引っ張られる感覚がした。そして、胸に手を当ててみる。少し膨らんでおり、先端に突起物がある。


 「え…なにこれ…この感触、おっぱいじゃん(おっぱい触ったことないけど)」


 最後に、意を決して股を触る。


 スカッ───


 本来、そこにあったものが無くなり、パンツに出来た空洞から空気が抜け出し、そんな腑抜けた音がなった。


 「俺、気絶するまで、男だったよね…えッ、女になったの!?」





 女になったことを、理解するのに10分も掛かった。いや、10分で理解できたなら早いほうかもしれない。


 そして、女になったことで色々と変わったことがある。俺は、もともと黒目黒髪だった。それが、スマホで確認した結果、銀髪オッドアイとなっていた。右目が碧眼、左目が金眼となっていた。


 それに加え、体も変化していた。身長は160cmぐらいに縮み、雪のように真っ白な肌に長い手足。顔だって変化した。小さな顔に、筋の通った綺麗な鼻、切れ長の目は可愛い系というより、カッコいい系だ。


 うん、一言で表すなら、美少女だ。しかし、俺はこの美少女をみたことがある。それは、1年前の中学2年生のときだ。あのときの俺は、病に冒されていた。そう、それは…厨二病という病に。


 その時に、俺は絵が上手いからという理由で漫画を描いていた。それは、今となっては黒歴史だ。その黒歴史に登場するヒロインが今の俺と全く同じ姿なのだ。


 この容姿を確認した瞬間、俺はみっともなく一人で悶えてしまった。まぁ、主人公に、ならなかっただけましか。


 幻覚であることを願って、もう一度スマホを内カメにして、自分を確認する。


 「アッぁぁっっ!!!!!」


 俺はダンジョンで、もう一度悶えたのだった。

 


 


 


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