第3話 変態VS大手クラン『ハイエナ』

 こいつらは馬鹿なのか?


 昨日殺した相手が所属していたクランから、大量に指定マッチの申請が来ているが、こういう嫌がらせは、俺が絶対に勝てない相手からじゃないと意味がない。


 何故なら、その日にどれか1つでも承認すれば、俺がポイントを失う事はないし、逆に申請した側は、承認されなくてもポイントは失われるからだ。


 まあ、そういう仕組みでないと、みんな絶対に勝てる相手にしか申請しなくなる。


 人気(弱い)相手に申請しても、そいつが1番勝てそうな相手しか承認されない。

 だから、絶対に勝てる相手だからといって無闇矢鱈に申請していると、ポイントを浪費することになるわけだ。



 結論、こいつらは馬鹿。




 まあ、やりたい事は分かるけどね。


 クランメンバー以外には、俺に指定マッチの申請をしないように通達でもしていれば、俺がそこのクランと闘うか、ポイントを大量に失うかの2択に迫られる事になる。


 多分、本気で殺しにくるんだろうな〜。


 楽しみで仕方がない。


 誰の申請を承認しようか。ランキング下位から1人ずつ倒していくか、最初から頭を狙うか。



「あのっ!」


 帰宅途中、知らない女性に話しかけられた。格好を見るに同じ学校の生徒だろう。


「何ですか?」


「少し時間いいですか?」




…………………………………




 俺に話しかけてきた女性は、俺と話している姿を人には見られたくないらしく、少し離れたカラオケ店で待ち合わせすることになった。


「それで、用件は何ですか?」


「あの、変態さん。『ハイエナ』の情報買いませんか?」


 変態さん・・・・・・まあ、いいか。


「大手クランと敵対している中での、そういった提案はとても嬉しく思いますが、相手の能力を知ってしまったら楽しみが半減すると思うので、私には必要ないですね」


「え? あ、そういう意味の変態だったんですね」


 確かに言われてみれば、そういう意味での変態でもあるのかもしれない。


「そこが私の強みでもありますから」


「そうなんですね。あ、でも、危険人物の能力だけでも聞きませんか? お金は取らないので!」


「ご心配ありがとうございます。ですが大丈夫です」


「え、あ、あのっ!」


「まだ何か?」


「じ、実は、私の友達が『ハイエナ』のメンバーに殺されていて、出来れば仇を討ってほしいんです」


「・・・・・・では、その相手の能力だけ聞いておきます。そして、その相手が私を殺しに来た場合にのみ、殺してみせましょう」


「あ、ありがとうございます! では、後で詳細を送るので連絡先の交換お願いします」


 後で、か。




…………………………………




 俺にとって3度目となるデスゲームバトルが始まった。


 今回の相手は、『死角からの攻撃を全て反射する能力』らしい。


 まあ、どちらにしろ、正面から捩じ伏せる予定だったから特にやる事は変わらない。


 校庭のど真ん中で瞑想をする。




「どうも。はじめまして」


 今回の対戦相手が歩きながら話しかけてきた。

 思っていた数倍、理知的に見える。


「どうも」


「随分と余裕だね。そんなに強い能力なのかな?」


「まあ、強いな。使うのを躊躇うくらいには」


「そうか。僕とどっちが強いだろうね?」


「やれば分かるさ。あ、その前に、そっちは俺を殺す気があるのか? あるなら俺も殺す気で闘うんだけど」


「今回は君の能力を確かめる事が僕の仕事さ」


「そうか。じゃあ始めるか」


「もう終わったよ」


 終わった? ああ、そういう事ね。なんとなくそんな気はしてたけど。


「まんまと騙されたわけか」


「そういう事」


 これは、『視界に入った相手の動きを止める能力』ってところか。全く動けない。が、能力は使う事が出来そうだ。



 俺の能力は、使った後に再使用するまで時間が掛かる。その時間をリキャストタイムって言うんだっけか。


 まあ、そういう制限みたいなものがある。ゲームバランスを整えるためのものだろう。


 では、こいつの能力はどうだろうか?


 相手の動きを止めるだけで、相手は能力を使える。

 その事から、多分、そういった制限はないと推測できる。

 つまり、俺が能力を使わない限りは動けないということだ。


 最悪だな。




「能力使わないの? それとも使えないのかな?」


 能力にも色々ある。受動的な能力の場合は何も出来ない。



 相手はナイフを取り出し、俺の心臓目掛けて刺そうとしている。


「やめたほうがいい。俺の能力は反射だ。そのまま刺すと死ぬぞ」


 相手は少し考える素振りをする。


「反射ね。それが本当だとしても、そんな強い能力、回数制限やリキャストタイムがあるに決まってる。即死レベルの攻撃をしなければ僕が負けることはないね」


 そう言って、少しずつ甚振ってきた。


 うん。悪くない。出来れば相手は女性がいいけども。


「反射は嘘か。そして、君の本当の能力は、『痛みを無効化する』かな?」


 確かに、反射は嘘だ。けど・・・・・・


「そう思うならやってみればいいよ。死んでも知らないけどね」


「望み通りやってやるさ」


 相手はナイフを今度こそ俺の心臓に突き刺そうとした。


バタッ。


 その瞬間、相手は倒れた。おそらく気絶だろう。


 まあ、流石に心臓を刺されたら変態でも死ぬからな。能力を使わせてもらったよ。


 さて、こいつをどうするか。




…………………………………




デスゲーム匿名掲示板part38



812:匿名

変態、また勝ったっぽい


813:匿名

流石だな


814:匿名

どうせ対戦相手はハイエナの下っ端だろ


815:匿名

対戦相手誰だったんだろ


816:匿名

ハイエナのクランメンバーで死んだのいるか調べて、誰か


817:匿名

誰か頼む


818:匿名

誰か調べてる?


819:匿名

5人死んでる


820:匿名

5人!?


821:匿名

嘘つくな


822:匿名

じゃあ自分で調べろよ

幹部2人と下っ端が3人死んでる


823:匿名

どっかのクランが動いたか?


824:匿名

いや、たまたまじゃない?


825:匿名

まじで5人死んでんじゃん

誰が殺した?

1人は変態だとして



デスゲーム匿名掲示板part39



108:匿名

みんなイベント通知来てる?


109:匿名

来てる


110:匿名

来てない


111:匿名

来てない

ラッキー!


112:匿名

今度のイベントでは何人死ぬのかな



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