舞台『キズナコーストガード』を見て、おどろいたことがたくさんある。

 まず、都内じゃあまり見かけないケモノの姿をしたヒト⋯⋯獣人じゅうじんが集まっていたこと。

 それだけじゃない。 同い年の子どもたちが、大人顔負けの演技をしていて、主人公のミサキ役の男の子がバトルシーンで見せる武器を回す仕草は、何回でも見たくなった。

 それに、みんな歌とダンスがうまくて、何をしてもカッコイイ。


 だから、いまも記憶に残ってるシーンがある。

 それは、初めて舞台を見たとき、いちばん感動した場面でもあるんだ。


『キミとわたしの約束、心に染み込んで』


 それは、オープニングのラストにさしかかったところ。

 ステージ2階の中心に立つシキシマとミサキが歌い。


『これからも支えあって、未来へと進もう』


 ミナトさんがステージの1階のセンターに来ると、スペンサーとセネカがミナトさんの隣に並ぶ。


『キミに伝えたいこと、たくさんあるけど』


 アコヤちゃんたちがステージ2階の上手と下手に並び、その間にシキシマとミサキは段差を降りてステージ1階の中心に来て、ミナトさんたちは両側に移動。


『うまく言葉にできないよ。 だから代わりに手を取り合って』


 隣同士、背中合わせになったシキシマとミサキが、観客席の方へ手を伸ばす。

 

『いっしょに輝く未来へと歩き出そう』

 

 見つめ合うシキシマとミサキ、ふたりに駆け寄るミナトさん。

 オープニングは、この3人が主人公であるとはっきり伝える構成になっている。

 このオープニングを見てから、自分はこの舞台にすっかり心をうばわれていた。


 そして、ミサキたちがステージから去るとき、シキシマとミサキはこっそり手をつないでいたんだ。

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