アビスを埋める太陽

福原そら

友の言葉

―君は死んだら何がしたい?僕はね、死ぬって終わりを意味するとは思わないんだ。死ぬってことは、次の道を踏み出すまでの準備をすることだと思うんだ。ほら、学校の春休みとかはさ、次の学年に向けた準備のための期間って先生よく言ってたよね。それと同じだよ。僕たちは死んだらさしあたりの荷造りをするんだ。もしそうだとしたら、僕は君との思い出を詰めるだけで荷造りが終わってしまうね。―

頭の中で思い起こす友はかつてこんなことを言っていた。心理学者でもないのにどこにそんな確証があるのかと思うたび、何故か目の前の友の言葉は僕の心の穴の縁をなぞっているような心地がした。彼は何故あのような言葉を言ったのだろう。今でも一言一句思い出すことができる彼の言葉はいつの間にか僕の頬を濡らしていた。薄暗い窓際で、僕はたった独り泣いていた。

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