第8話 出会い

雫は、37歳になっていた。


陸は、10歳…小学4年生だ。


雫は、中学校の教師を続けていた。


クラブの顧問になりたいけど…


陸に寂しい思いはさせたくなかったから…


学校にはお願いして配慮して貰っていた。




陸は、優しい子に育っていた。


淳からは毎月、養育費が入金されている。


淳は、あの同僚と結婚したらしい…


そんな噂が耳に入ってしまう…


ま、もう何とも思ってないし…




今は、陸のことだけ考えて生きていきたい…


そう、思っていた…




ある日、陸の個人懇談に行った。


学校が忙しくて…


参観日にも行けてなかったから…


先生の話は、陸から聞いていたけど


会うのは初めてだった…




教室に入ると…


さわやかな先生がそこにいた。


―――思ったより若い先生なんだ…




「暑い中お越しいただいてありがとうございます」




「いえいえ…初めまして…いつも陸がお世話になっています」




そして…陸の学校の様子を教えてくれた。


陸は、勉強も頑張っているし…


友達との付き合いも上手くいってるって言われたから


安心して家に帰った。




それから…


勤務の帰りにスーパーに行ったら


偶然、陸の先生に会った。




「あっ、先生…偶然ですね…家は近いんですか?」




「そうなんですよ…近所に住んでいます」




「そうなんですね…では、また」


そう話して別れた。




それから、先生とは度々スーパーで会うようになった。


そして…立ち話でお互いの話もするようになった…


先生はの名前は、しゅう


独身35歳、結婚寸前の彼女はいたけど


別れてからは彼女はいない…


学生時代テニスをしていたそうだ。


―――なんか気が合いそう…


と思ったけど…


―――そんなこと考えちゃダメダメ…


と我に返った…




そう思いながらも、雫は


時々、柊先生と会って話すのが


楽しみになっていた。




ある日、いつも通り立ち話をしていると…柊先生が




「良かったらですけど…今度ご飯でも食べにいきませんか?」


雫は、驚いたけど…




「私なんかで良ければ…喜んで」


と言ってしまった。


後で、しまった!と思ったけど…


行きたい衝動を止められなかった。




陸も連れて行きたかったけど…


ビックリするかもしれないから…


実家で預かって貰った…




柊先生とは話が弾んで…時間が経つのを忘れた…




柊先生は




「また会って下さい」


と言った。




それから何度目かのデートで




「雫さん、好きです。付き合って下さい。僕は、陸くんの事もちゃんと考えていますから」


と言ってくれた。




「本当に私でいいんですか?」




「雫さんがいいんです」


そう、言ってくれた…




嬉しくて…




「はい、よろしくお願いします」


と返事をした。




雫は、嬉しくて…その日は眠れなかった…


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