その11


狼は大きなグリフォンに飛び乗ると、皆で空に飛びたちました。

狼はいいました。

「ありがとう、おやすみ、だいすきなともだち……」


そしてつぶやくようにいいました。

「ありがとう、ぐりふぉんのともだち。ひとのともだち」


 とてもとても小さな声でした。人間だったら聞こえなかったでしょう。

 それでも、優秀なグリフォンたちはその呟きを聞き逃しませんでした。

 狼は最後に一滴の涙を流しましたが、空はあおあおとしていて、晴れ渡っていました。


 グリフォンたちのおかげで、狼は里山に帰りました。

 村人たちは大いに喜んで、狼を囲って抱きしめました。

 他の村からも、狼を心配していた人たちが集まりました。

 そして、グリフォンたちを手厚くもてなしたのです。

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