その2

「ありがとう」 グリフォンはいいました。

「おれいに、なにかできることがあればいってください」 すると、村人はいいました。


「俺たちの友達に、白くてきれいな狼がいる。狼は友達を探しに、一匹で里山を降りていった。そうしてすぐに雨が降り始めてしまった。狼は俺たちにとても親切で、とても心配しているんだ。どうか、里山に帰るように伝えてほしい」

 そういうと、村人はグリフォンに数少ない食べ物を括り付けました。

 とうぜん、グリフォンはわかったと答えました。


 グリフォンが北の山に帰るころには、知らせを聞いて集まっていたグリフォンたちでいっぱいでした。食べ物はすぐに配り終え、なくなりました。


「これをたべたら、おおかみさがしをてつだってほしい」

グリフォンたちはもらった食べ物を夢中で食べると、一斉に飛び立って狼探しを始めました。


 グリフォンは世界中を飛んで探し回った。どさくさに紛れて、南の島でごちそうを食べるグリフォンもいた。それでも、グリフォンは狼の事を訪ねるのとだけは忘れなかった。それでも、狼は見つからなかった。雨はずっと降り続けていた。


 さらに東南の小さな島にもいった。その島にも、狼はおらず、誰も何も知らなかった。


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