告白数分前!!

初心なグミ

ヤニの匂いとキスの味


 優太と桜は小さい頃からの幼なじみで、大学生になった今も時折こうして互いの家に泊まる仲だ。

 今日は優太が桜の家に泊まっているのだが、ベランダで煙草を吹かしている桜が、リビングのソファーで寛いでいる優太に声を掛けた。

 

「ねぇ、優太」


「ん?どうした、そんな顔してぇ」


 にんまりとした顔で手招きする桜に、優太も内心ワクワクしながらスタスタと向かった。


「で、何よ?」


 桜の近くに寄って用件を聞き出そうとした優太に桜はニコリと微笑むと、ふぅっ!と煙草の煙を吹き掛ける。


「くっさ!!う"ぉ"ぇ"……げほっ!げほっ!」


 煙草の煙を思いっきり吸い込んでしまった優太は、独特な匂いから煙を吸い込むと咳き込んでしまう所まで、煙草の全てが嫌いなのだ。

 それでも……桜だからと!ベランダでならと!一緒に居る時でも吸って良いと言っていたのだが……まさか煙を吹き掛けられるとは思っても居なかった為、右手で口を抑えて左手で煙を散らしながら、反射的に優太は桜に対して暴言を吐く。


「桜テメェ!マジで何しやがる!!」


 涙を流しながら薄らと開いた目で桜を見つめる優太に、桜は両手を合わせて悪びれも無く謝罪しつつ、優太に対する想いを告げる。


「ごめんて、怒らないでよ。私……優太には、私の好きな物を理解して、それでもし出来たらさ、好きになって貰いたいんだぁ……」


 先程までとは正反対の表情をする桜に、優太は少し言い過ぎたかな?と思いつつ、その何とも言えない……桜の憂いた表情に、心做しかドキッとした。


「あっそ……そんなこと言われても、煙草だけは絶対無理だね」


「そうなの?…………これ、でも?」


 煙草だけは無理だと否定する優太に、桜は先程まで自分が吸っていた煙草の吸口を優太に向ける。

 優太は先程まで桜が吸っていた吸口を向けられたことで桜の唇に目がいってしまい、その綺麗な桜色で柔らかそうな唇を見つめていると、桜は潤んだ瞳でそんな優太を見つめ続けていた。

 煙草の吸口と桜の唇、そして桜の潤んだ瞳の魔力によって魅了された優太は、無言で煙草を受け取り、煙草の吸口に口を付けた。


「えへへ……やっと吸ってくれたね!味はどうかな?」


「げほっ!げほっ!まっずい……お"ぇ"ぇ"」


「そっか……うん、そうだよね。でもさ…………私との関節キスは、どうだった……かな?」


 関節キスというワードを聴いて分かりやすく狼狽える優太に、桜は優太の首に両手を回して抱き寄り、意地の悪い表情を浮かべて耳元で囁く。


「煙草の関節キスってさ……エッチ、だよね?」


「…………っ!?」


 思考停止中の優太が手に持っている煙草を桜が手に取ると、桜は煙草の吸口を口にして一服し、灰皿に捨てた。

 煙草を灰皿に捨てた桜が優太に抱き着き、次は恥ずかしそうな表情を浮かべて耳元で囁く。

 

「ふふ、大きくなってる……」


「いやっ!こ、これは……」


「んーん……大丈夫。だって私、優太のこと好きだもん。優太は私のこと、好き?」


「…………うん。好きじゃなかったら、誰がお前みたいなのと……っ!?」


 一緒に居るか……と言おうとした優太の唇は、桜の唇によって塞がれていた。

 急な事に驚きながらも流されるがままにキスを続けていると、優太の口の中に桜の柔らかな舌が入ってきた

 絡みつく舌、混ざり合う唾液、抱き合う身体……優太はそれらに快楽と興奮を覚えると、優太の方から積極的に身体を密着させ、舌を絡ませていった。

 数秒間キスをし互いの伸びきった舌を離すと、二人を繋ぐようにして出来た透明な糸がプツリと消えた。

 この長いようで短い時を終え二人で見つめ合ってると、桜は優太の手を持ち自分の身体に触れさせる。

 そこはトロトロとしていて、手の甲にはサラサラとした感触が伝わってきた。


「ねぇ、優太……ここ、濡れてるでしょ?」


「んっ、うん……はぁはぁ…………」

 

 急に触れさせられたことで緊張した優太は桜の質問に答えると、次第に興奮していき呼吸を荒らげた。

 桜が呼吸を荒らげながら下の方にばかり注目する優太に「ふふ、可愛い……」と呟くと、桜は優太をベッドに誘っては一言伝えて寝っ転がる。


「負けて誘惑しちゃうような私でごめんね?愛してる」

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