第七話 暗闇から抜け出して、また暗闇へ
黒煙は僕の体を沿って、舞う
血と汗は、体から溢れる
僕の体の強さを知り、命の危機を深く感じる
時間
体が悲鳴を上げ、傷を負った、数日前
体の悲鳴は止み、廻りだした、数時間前
体は慣れ、余裕ができた、数分前
零れ落ちた隙、見逃さなかった、数秒前
晴れる暗闇、垂れる黒髪
骸の前に佇む、今
そして
『暗闇から抜け出して、また暗闇へ』
だが、彼は止まらない
本当の暗闇を味わった彼にとって、これは暗闇とは言えない
彼の濃縮された時間で喰らった経験
それが、彼を、彼を一段階上の世界へと、送った
彼はもう、岩陰で隠れ、泣き叫ぶ仔羊では、無い
それを自分自身が理解してから、そう時間はかからなかった
彼の周りの黒煙が晴れるまで―――
「これで、終わり」
そう言った、そして、彼の足元に首が落ちた
先ほどまで、あんなにも怖がっていた自分が馬鹿らしくなるほど
簡単に
「さて、、こっからどうしよう」
迷宮の奥深くで俺は一人、そう呟いた―――
ダンジョン遭難日記、一日目
日記を書くことにした、色々理由はあるが、娯楽一つ無いので楽しみにと
後で見返したりしても面白いし、モンスターに対する対策とかにも使えるしね
まず、俺が落ちてきた場所、一応最下層でいいのかな
確か、入る時の説明では20層くらいという話だったから――
いや、真面目に考えると、そんなに深い落とし穴だと死ぬか
骨は折れてない事を見るに、そんな高い所から落ちたとは思えない
俺が落とし穴に引っかかった層が第5層、天井から地面までの距離が大体俺二人分
つまり3mちょいかな、説明によるとキングゴブリンは第10層からだから
最低でも3×5=15m、うーん、どう頑張っても骨くらいは折れそう
まぁ考えてもしょうがないか、とりあえず上に行ったら、いつかは出れるだろう
とにかく、俺は黒い煙、死亡フラグの流れを読むことに集中した
最初は黒い煙が無い方に行こうとしていたが
流石キングゴブリンが当たり前に三体いる階層
俺の体が悲鳴を上げているという事もあるが、黒い煙が無い場所なんて無かった
とにかく薄い方に進んでいく、休憩するという手もあったが、少し休憩しようと思っただけで黒い煙が濃くなり押し寄せてきたのでやめた
多分、この階層のレベルのモンスターに次会ったら死ぬ
だからとにかく死なない為にはこの階層から取りあえず抜け出すしかないのだ
歩き始めて約30分くらい経った時、花を見つけた
嗅いでみると、フローラルで気持ちのいい匂いがした
気休め程度だが、少し体が軽くなったりもした
死亡フラグを見てみると特に反応が無かったので食べてみた
美味しかった、蜜って感じの味がした
かなり体が回復した、多分ポーションとか薬草とかそういう類の物なんだろう
いくつか摘んでいく事にした、謎の薬草×10を手に入れた
歩き始めて約3時間くらい経った、お腹が空いたので持ってきた食糧を食べた
日帰りの予定だったのでそんなに量は無いので、大切に食べた
歩き始めて約5時間経った、問題発生だ、食糧が底をつきた
水分は持ってきた分はあるし、ダンジョンに水が流れている場所がいくつかあったので何とかなるが、食糧はそうも簡単にいかなかった
まぁ水だけで人間は一週間は生きれるらしい、その間に脱出するか、食糧を見つければいいだろう
歩き始めて約1日が経過した、ダンジョン内で小さな洞窟を見つけた
そこは誰かが作った簡易的な拠点のようで、ダンジョン内で唯一の死亡フラグが見えない場所だった、ついでに近くにオーク?の様な見た目の死骸があった
腐敗している様子はなく、かなり新しい、つまり最近この場所に人がいたという事になる、残念ながら、拠点の中に食糧や使えそうなものは無かったが
もしかしたら、まだ近くにいて探せば助けてくれるかもしれない
そんな希望を見つけた
そして、食糧問題も一旦は解決した、詳しくは語らないが、まぁうん
死亡フラグで安全かは確認したし、豚と思えば、まぁ喰えなくは無かった
これも生きていくためだ、仕方がない
取りあえず、ここで仮眠を取る事にした、流石に一日歩き続けるのはしんどい
次、俺の眼が開いた時、誰かが救けに来てくれればいいのだが―――
そんな事を考えながら、眠った
一日目の日記は、ここで終わり
死亡フラグが見える僕、異世界に転生して世界最強へ 孤宵 @musubime_koyoi
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