第12話 揺れる想いと打ち上げの夜
体育祭が無事に終わり、クラス全員が打ち上げをすることになった。放課後の教室には、楽しそうな笑い声と賑やかな会話が飛び交っていた。皆が疲れた体をリラックスさせ、思い出話に花を咲かせながら、打ち上げの準備を進めていた。
食べ物や飲み物が並べられ、盛り上がりが最高潮に達したその時、クラスの一人が突然立ち上がった。普段はおとなしい彼が、なぜか今日は少し様子が違う。彼は少し緊張した表情で、目当ての相手に向かって真剣な目で見つめた。
「俺、前からずっと君のことが好きだったんだ!もしよければ、俺と付き合ってほしい!」
その瞬間、教室内は一瞬静まり返り、皆が息を呑んで見守った。しかし、彼の想いは届いた。相手の女子は顔を赤らめながらも頷き、教室内には歓声と拍手が沸き起こった。クラスメートたちは二人を祝福し、さらに打ち上げは盛り上がっていった。
その雰囲気に押されるように、別のクラスメートが声を上げた。「そういえばさ、勇斗と美月も仲良いよな!もしかして二人も付き合ってるのか?」
その言葉に、教室の視線が一斉に勇斗と美月に向けられた。勇斗は驚いて一瞬固まったが、すぐに苦笑いを浮かべながら返した。
「いやいや、そんなわけないだろ!俺たちはただのクラスメートだよ。」
その言葉を聞いた美月は、微かに笑いながらも、どこか寂しげな表情を浮かべた。その一瞬の表情の変化に気づいたのは、ほんの一部のクラスメートだけだったが、何となく気まずい空気が流れた。しかし、その場はすぐに別の話題に移り、皆は再び楽しそうに打ち上げを続けた。
勇斗は美月の表情に気づかなかったが、彼女の心の中には、少し複雑な思いが残っていた。しかし、今はその気持ちを表に出すことはせず、ただ静かにその場の雰囲気に溶け込んでいた。
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