第14話
春休みに僕は帰りたくないあの異常な実家に二年ぶりに帰った。すると祖父が激怒して「なぜ忙しい年末年始に帰ってこないのか」と激しい暴力を振るわれた。僕は無抵抗のまま、僕の人生は一生祖父の呪縛から逃れられないのだなと感じていた。祖父の暴力が終わると母がやってきて僕に「父が教頭になった」と嬉しそうに一言だけ言った。僕の一人暮らしに反対した母だったが、やはり僕のことには興味がないのだ。母は何よりも権力が一番好きなのだと改めて実感した。父も父でいずれ継ぐ宮司のために箔を付けたかったのだろう。あれだけ生徒に手を出していた犯罪者の父が現場から離れるのはやはり権力のためなのだ。この家は昔と何も変わらず異常なままだった。僕は予定通りに母の卒業アルバムを取り出し熟読した。すると矢早さんとやたら一緒に写真に写っている男を発見した。その人は矢早さんと母と同じクラスで集合写真にも写っていた。池田真一。この人は矢早さんの友達に間違いないと確信した僕は、巻末の住所録から住所と電話番号をメモした。ここまでしたらこの家には用がない。一秒でもこの家にいたくなかった僕はすぐに下宿先へと逃げるように帰った。
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