陰キャな僕の耳もとで囁く木村さん

とろり。

【木村さん、接近中】


【学校がお昼休みになってすぐ】



「ふぅ~。あ、びっくりした? 耳穴に息吹きかけてごめ~ん(^◇^)」


「あ~もうちょっと~、に・げ・な・い・で♡」


「確かに君はわたしの彼氏じゃないぞ~」


「じゃなんでからかうのって? それはね……君をからかうと面白そうだから。ふふふっ」


「耳もとで囁くと勘違いされるって? キスっぽい?」


「勘違いしてるのは、きーみー」


「わたしは純粋に君をからかっているだけだよ~。だってリアクションが面白いんだも~ん」


「あ、ねぇねぇ耳貸して」


「ふぅ~」


「キャハハ、うける~。なんか可愛いよ君」


「よし、君を木村のペット1号に任命しよう~」


「え~なんで嫌なの~。わたしだよわたし。クラス1の美少女木村さんだよ~」


「他の男子なんかそっこーで受け入れるよー」


「えっ? わたしが陰キャの君と関わると評判が落ちる? キャハハ、ありがと、心配してくれて。で~も~、わたしは君を離さないよ~。だって君はわたしのペット1号だもんねー?」


違います? まだ? まだなんだ。ふ~ん。じゃあ3分後にはわたしのペット?w」


「カップラーメンみたいだね。キャハ、食べちゃいたいw」


「止めてください? 止めないよ~。ペットは従順なものなのだ~」


「ちょっとちょっと、耳貸して」


「今、ちょっと変な妄想しなかった?」


「え? だから例えば、わたしにえっちな調教される妄想とか~」


「ぷぷ(*≧m≦*)、おどおどしちゃって(笑) してない? そお? 本当? 神に誓って? わたしに誓って? ふ~ん、やっぱり君は面白いな~。帰りに31アイス奢ってあげる~w」


「なんで~、なんでいらないって言うのよー、ありえなくな~い? なくなくな~い?」


「いいから! そこは「はい」と言いなさい!」


「うん、よろしい」


「前置き長くなっちゃったけど、お昼一緒に食べよ?」


「ええーなんでなんでなんで~? わたしじゃ不満?」


「不満じゃない? じゃあいいじゃない」


「ありがと。じゃ屋上に行きましょ」




【学校の屋上】


「いや~空気がうまいな~。お腹いっぱいだよ~」


「ちょっ、帰らない帰らない。一緒に食べようって約束したでしょ?」


「わたし、今日は~お弁当~♪」


「ちょっと耳貸して」


「君の分も作ってきたよ」


「ぷぷぷー、何赤くなってんの?w ぷぷぷぷぷぷぷぷw」


「え? 笑いすぎ? ごっめーん☆ めんごめんご」


「まあ、とにかくお弁当の中身はね~。玉子焼きでしょ~、たこさんウインナーに、あと野菜にミニトマトとブロッコリー~」


「でしょでしょ、なかなかいいでしょ(≧∀≦) もっと褒めて、褒めて伸びるタイプだからp(^-^)q」


「『木村さん、料理』って……、じゃなくてって言ってよp(´⌒`q」


「わたしはね、こう見えても日々努力してるんだよ~」


「あ、そうだ、普通に食べるの嫌だよね?」


「え? 嫌じゃない? 普通に食べる? も~、い~け~ず~w」


「ほら、あ~ん」


「何してんのよ、ほら、口開けて」


「はい、あ~ん」


「どう? おいし?」


「よかったぁ~。わたしね、君のために朝早く起きて作って来たんだよ~( ´艸`)ふふ」


「玉子焼きはね~、砂糖いっぱいの甘甘です」


「ご飯も食べたいよね? 任せて」


「はい、あ~ん」


「どう? おいしい?」


「お米は近所のスーパーだけど、水は高級な水を使って炊いたわ」


「うんうん、ありがと。うれしいよ( ´艸`)ふふ」


「たこさんウインナーも寂しがってるね?」


「あ~ん」


「おいし?」


「ありがと。君とのお昼ご飯、かなり楽しいよ!」


「じゃあ、満足したところで次は~」


「わたしにもあ~んして?」


「そうそうもちろん君が、だよ?」


「恥ずかしがり屋だなあ君は」


「玉子焼きを口に運ぶだけだよ。それだけ」


「もう! ほ~ら、恥ずかしがらないで」


「ちょっと! 手が震えているんですけど!」


「お、落ちるって!」


「が、頑張れ! あと少し!」


「あ~ん……もぐもぐ……おいしい(T^T)」


「って自分で作っといてなんだよね」


「ミニトマトもお願い」


「だから落ちそうだって~! も~気をつけてよ~?」


「はい、あ~ん……もぐもぐ……おいしい(T^T)」


「農家さんに感謝だね」


「え? 間接キッス? ぷぷw( ´艸`)ぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷっはーっw」


「も~チェリーだなあ君は~」


「耳貸して」


「直接キッスをしよっか?」


「ぷぷーっ( ´艸`) リアクションおもしーw」


「大丈夫。練習ってことにしよ?」


「君のファーストキッスはもしかしてわたしになる?」


「ほー。やっぱり。君は純心乙女みたいな男子だなー」


「止めとく?」


「え? 聞こえないよ~w」


「もっと大きな声で」


「はいOK! でも直接キッスはお預け。わたし、焦らすのも好きなの~w」


「代わりにわたしの手を握ってもいいよ?」


「ほんとほんと、引っかけとかないから、テストじゃないんだからw」


「はい!」


「ほ~ら! わたしが手を差し出しているんだから、ね?」


「んもうっ! 陰キャだなあ君は」


「手、出して?」


「はい!」


「どう? 女の子の手」


「温かいって……あったりまえじゃー!ぽこ 冷たかったらどうすんのよ! まあ、わたしが冷え性っていうパターンもあり得るけどねぇ」


「温かい冷たいじゃなくてさぁ~、『木村さんの手、小さいんだね』とか『木村さんの手、スベスベしてるね』とか、あるでしょ?」


「今さらおっそーいっ!」


「もうっ! これだから君は」


キーーンコーーンカーーンコーーン


「あ、お昼休み終わっちゃった」


「あ~んもう時間が過ぎるのが早いわ~」


「あ、君。約束、覚えてる?」


「覚えてない? こーら、わたしと31アイスを食べる約束だよ」


「ほら思い出して」


「頭いいんでしょ?」


「君が学力テストで学年二位なのは知ってるよ」


「知らない? もうっ! わざとでしょ!」


「必ず守ってね」


「五時間目が終わったらさっさと帰る準備をしておきなさーい」


「でも絶対に先に帰っちゃダメだからね」


「いい? 分かった?」


「よろしい」



【お昼休み END】



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