赤くて甘い幸せ

文化祭、当日、お母さんとお父さんが見に来てくれた。びっくりしたのが、二人が一番客だったってこと。私たちの映画はたくさんの人たちに褒めてもらった。演技についても、ナチュラルで見てて違和感がない!って言ってもらえた。後輩の中には、「サインください。」ってちゃんと色紙を持ってきている子もいてびっくりした。でも、何よりうれしかったのが、お父さんが私の告白シーンで泣いてくれたことだった。お父さんは泣いているのをばれないように必死だったみたいだけど、終わったあと、「よかった」の一言を言ってくれた時、目が真っ赤だった。お母さんは泣いてはなかったけど、「よく頑張ったね」って褒めてくれた。


文化祭終了後、成瀬君に一緒に帰ろうと誘われた。実はまだ、親に話せたことを報告出来てなかったから、私も話したいと思っていた。

「成瀬君、あのさ、私、花とも親ともちゃんと話したよ。成瀬君が私のことまっすぐだって褒めてくれてそれで自信ついた。ありがとう。」

「今日、最前列で泣いてた人って高梨さんのお父さん?」

「えっ、なんで?」

「やっぱりそうなんだ。良い人そうだな。」

「うん。なんだかんだ、応援してくれた。なんかあんなに悩んでたのかちょっと嘘みたい。全部成瀬君のおかげだよ。」

「俺も。」

「え、え?何が?」

「俺、サッカー続けることにした。」

「ほんと!?」

「親にさ、ちゃんと伝えたんだ。まだサッカーやりたいですって。ちょっと渋い顔されちゃったけど、でも反対はしなかった。ま、だからこそ、結果出さないとな、練習頑張るわ。

…高梨さんに勇気もらった、ありがとう。」

「よかった。」

「…。」

「なるせ、くん?」

「あのさ、来週って空いてる?」

「え、うん。空いてるよ。」

「あのさ、その、良かったら、なんだけど、俺、試合出るんだ。だからその、見に来てくれないか?」

「え、私行っていいの?」

「俺、ずっと好きな人にサッカー応援してもらうが夢なんだ」

「えっ」彼の顔を見たら耳まで真っ赤だった。

「ふふふ、はははははははは。」

「な、なんだよぉ」

「だって真っ赤だから。おかしくて。」

「っう~、かっこよく決めたかったのに。」

「ふふ、いいよ、応援行きたい。」

「え、マジで。やっべうれしい。俺、頑張るから。」

「うん!!」

  

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