第16話

 再びお祭りのような街の中を歩く。

 どうやって情報を集めたらいいのだろうか。

 伯爵家がどうなったか。

 そう、それからもし、ルゥイが王族の血を引いているのだとすると……。

 この3年の間に子を設けることができる可能性は、3年前に17歳になったリンクル殿下。その姉の第一王女19歳。第二王女は14歳……可能性はゼロではない……?第二王子の可能性はないよね。……他には。

 ああ、陛下がいる。でも、陛下は子供の存在を隠す必要があるだろうか?側室を持つことも可能だし、リンクル王子が立太子した後だから後継者問題で揉めることもないはずだけれど。

 ……ってことは、やっぱりもし王家の血を引いているのだとしたら、第一王女、リンクル殿下、第二王女の三人。

 一番隠さなければならないのは、結婚を控えていた第一王女。

 貴族女性は成人後すぐに結婚する人も多いが、国を挙げてのリンクル殿下の立太子の式典の準備が優先されたため、第一王女の結婚式は立体式の翌年……王女が20歳になってからと少し遅めに予定されていた。

 まぁ、20歳でも遅いというわけではないけれど。

 私は22歳で行き遅れって揶揄されて。

 ……あ、そうか。私25歳なのかぁ……。と改めて思う。

 感覚としては、3年間の記憶がないから、22歳の感じがする。

 ……3歳若返ったみたいな気持ちだ。精神的にだけだけども。

「なんだい、祭りは終わっちまったのかよー!せっかく来たのによ」

「あはは、まぁ、王太子の誕生祭は終わっちまったが、まだ今月いっぱいは祭りみたいなもんさ。パレードは見られないだけでよ」

 ふと聞こえてきた話に耳を傾ける。

「パレードが見たかったんだよ。そうでもなきゃ陛下の姿を目にする機会なんて庶民にゃねぇだろ?村に帰ったら自慢するつもりだったのによ」

 はぁぁとため息をついて、旅装束の若者が肩を落とす。

「そりゃ残念だったなぁ、絵姿でも買って帰ったらどうだ?」

「絵姿かぁ……」

「あの店の絵姿が一番似てるぞ」

「似てるとか分かるのか?」

「そりゃ、毎年パレードを見てるからなぁ。……しかし、王女様方のお姿を拝見するのも今年が最後とは悲しいものだ」

 え?

「あの、毎年王女様は参加されていたのですか?それなのにどうして今年で最後なんですか?」

 思わず会話に入り込んでしまった。

「ん、第一王女様はご結婚した後もパレードには欠かさず参加していたけれど、ご懐妊されたそうで来年からの参加は見送るって聞いたし、第二王女様は今年成人だろ?隣国にお輿入れするって話だからな」

 そうなんだ。

 ……そうか。第二王女様ももう17歳なのか……。3年前の記憶で止まっているから不思議な感じだ。

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