恥ずかしがり屋な舞美

辻田鷹斗

プロローグ

「ライト!!」

背後から私のトスを呼びかける。

ああ、嬉しい。

黄色と青が交互に入ったバレーボールは私のおでこへ真下に落ちる。準備した開いた指が第二関節までを目安に触れる。球の重さを利用して手首が反動して一気に上へと力が解放される。同時に身体を仰け反り腕全体を後方へ。

バックトスを上げた。

ああ、このボールをセットして味方にトスを上げる瞬間が心地いい。時が止まったように思わず誇る。

良かった。今日まで私が生きていけたのは奇跡だ。

高校球技大会バレーボール女子決勝の一瞬にて私はそう実感していた。

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