『命の灯火と夏の残照』を、今あなたに。

神崎 小太郎

まえがき

 人生の中で、私たちは数え切れないほどの出会いと別れを経験します。それはまるで、夏の夜空に瞬く星々のように、儚くも美しい瞬間の連続です。


 ある夏の昼下がり、テレビのニュースで、長年心の引き出しにしまっていた青春のひとコマが消えてしまうという悲しい知らせを目にしました。その知らせは、まだ晩夏だというのに、まるで静かに降り積もる風花のように、私の心を冷たく包み込みました。


 実際には数日前に訃報が届いていたようですが、カクヨムの作品に夢中になっていたため、見逃していたのかもしれません。小説とともに映画好きな私は、学生時代に初めて観た洋画の記憶が瞬時に呼び覚まされました。


 主演男優の野性味が溢れるルックスとともに、どことなく翳りを感じる彼の名演技も忘れられません。夏の残照を感じさせる切なくも美しい映像に重ね合わせ、奏でられる甘美な調べの音楽も、この映画にふさわしく素晴らしかったです。


 特に印象的だったのは、イタリアのアマルフィの海。「世界で一番美しい海岸」と呼ばれ、世界遺産にも登録されています。海岸線に沿って立ち並ぶ色彩豊かな家々は断崖絶壁の急斜面に囲まれ、絵本から抜け出したような街並みとなり、目が離せませんでした。映像で映し出す世界と、小説の文章で描く情景は別次元のものですが、何かしら教えられた気がします。

 


 このエッセイは、そんな思い出とともに、私の人生の中で出会った人々や出来事を振り返りながら綴ったものです。時には悲しみや苦しみを伴うこともありますが、それらもまた、私たちの人生を彩る大切な一部です。


 いつもながらの拙い文章となりますが、どうか、五分ほどのお時間をいただき、最後までお付き合いいただければ幸いです。

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