Story A(将と真琴)
YST/イスト
第1話 二人の道
愛した
愛した
生活・環境あらゆる面において接点の全く無いと思われるこの二人に ある気まぐれな神が
女は、青春時代は学校と自宅が彼女の世界であり、燃えるような『愛』は本や映画などの中にだけ存在するものであり、稀に世の中の一握りの人のみに与えられる高徳なもので、自分には有り得ないものと独自の考えを持っていた。今の彼女の生活には、一般的に言われる『恋愛』というものは無いに等しかった。仕事に追われ、時間との戦いの毎日であった。でも彼女は孤独ではなかった。飛びぬけてビジュアル的に優れていることは無いが、他人に好感を持たれる(ただ普通の)スマートな女である。
男は、青春時代から学校・仕事場が彼の世界であり、多くの人々から羨ましがられていた。真実の『愛』は、どこにあるのか? 現実と芝居という虚像の間で揺れていたが、現在の生活には大して不満は無かった。俳優だから,言うまでも無くビジュアルは整っていて、強いて言うならむしろ美しい。どこへ行ってもスポットライトが当たっている様な男である。
女の名前は、織田真琴と言う。12月のある日、仕事で街中を歩いていると、不意に足を止め、ため息をつきながら空を見上げるとイチョウの木に1枚だけ葉が落ちずに、黄金に光って風に吹かれていた。真琴は「がんばれ!」と独り言をその黄金の小さな使者に投げかけた。
同じ時に男は、そのイチョウの木の手前で信号待ちをしている車の後部座席に気だるく座って車窓から何気なく前方上空を眺めると、イチョウの木に1枚だけ残っているキラキラ光る葉が目に飛び込んできた。彼は「シブトイナ!しがみ付いて俺みたいだな!無理すんなよ。」と そのキラキラ光る使者に呟いた。その男 大林
一瞬、この二人の女と男はこの同じイチョウの葉をなぜか?自分の分身のごとく見ていた。でも、その瞬間 二人ともお互いを気付くことは無かった。神様はその使者を通して不思議なイタズラのような奇跡をこの二人にかけてしまった。不思議な運命の渦へ・・・・・
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