第20話 Aパート
「やば。視線感じるんだけど」
後部座席から降りるなり、秘密結社『
「
「電話してみちゃう?」
オクタンはデコレーションされた携帯電話をちらつかせる。
「ウチは朱未くんのお宅がどこにあるか知っとるで」
「まぢ?」
「面接をしとるからな」
「あっ、そっか!」
タクトが朱未と顔を合わせたのはほんの数時間前の話。朱未の面接での発言と、
「
「罠があるかもしんないのにー?」
「ほなら、おねえさんが先歩く?」
「やだ」
「さよか」
すたすたと歩き出すタクト。左腕にしがみつくようにしてついていくオクタン。アスファルトに舗装された道の、両脇には街路樹が植えられている。その街路樹の上からの視線に顔を向けると、そこには何もいない。日が暮れるには早い時刻だが、だんだんと薄暗くなってきていた。
「六階やな」
タクトは携帯電話を取り出し、メモしてきた住所と、建物名を確認する。間違いなくこの第四アパートだ。
「あそこ、あそこにありえんでかさのクモいるんだけど! ウケる!」
オクタンが指差す先、壁にサッカーボール大のクモが貼り付いている。一匹ではなく、十数匹は見えた。クモたちは、タクトとオクタンをじっと見ている。様子をうかがっているようだ。
「クモの巣、っちゅーこっちゃな」
この場所にたどり着くまで、タクトとオクタンを監視していたクモたちが木々からおりてくる。どこかから見られているような、じっとりとしたイヤな感覚は、彼らからの視線だった。
「ようこそ。仮面バトラー事業部のおえらいさん」
六階から一階へと動くエレベーターから、仮面バトラー事業部の
「よう知っとんな。誰から聞いたん?」
「おひさー!」
タクトは怪人をにらみつけ、その隣のオクタンは右手を挙げて挨拶した。対照的なふたりに、クモ型怪人は複眼を光らせる。
「てゆうか、元のサイズに戻れたんだね?」
クモ型怪人は、ショッピングモールで怪物と化していた。怪人は他の生物からシンボリックエナジーを奪い取り、トランスフォームシステムをフル稼働させて、より強力な怪物へと変化することができるのだが、一度怪物となってしまうと元の怪人のサイズには戻れない、とされている。オクタンが仮面バトラーフォワードと仮面バトラーリベロとの戦闘中に怪物化を思いとどまったのは、この不可逆性があるからだ。
「オクタンよ」
「んー?」
「クオートに行ったからには、仮面バトラーリベロをすべて倒したのであろうな?」
「もちのろん! って言いたいところだけど、そのリベロがまぢで鬼つよで無理だったぽよ」
「ほう」
「めんごっ」
「ソレで許されると思うなよ!」
「びゃっ!?」
クモ型怪人の手から糸が紡ぎ出されて、オクタンを拘束する。たぐりよせて、自らのかたわらに置いた。
「独断専行で敵地に向かい、しくじるとは何事だ!」
「でもぉ! 内部しっちゃかめっちゃかにしたし! 三体は確実に倒したし!」
「口答えをするな!」
「もぎゅ!?」
口に糸が巻き付けられる。タクトはこの仲間割れを、一歩引いて見ていた。アポストロフィー内での力関係としては、クモ型怪人のランクが上なのだろう。
「まあいいだろう。こうして、仮面バトラーとの再戦の機会が設けられたのだから」
「もごぉ?」
「ウチのこと、覚えとってくれたん? ありがたいこっちゃ」
タクトはスーツの内ポケットから指揮棒を取り出す。赤い
「オマエにとってはリベンジか?」
「いいや? あのときのウチとはちゃうで」
右手に握った指揮棒を振りかぶり、ムジカドライバーを宙に出現させる。左手でムジカドライバーを掴み、装着した。
「
五線譜が空から舞い降りて、周囲のクモたちを散らしながらタクトを中心にして包み込む。五線譜には音符が表示され、ドライバーからは『奏でろ深紅のサウンド! 響けサラウンド!』と、仮面バトラーコンダクターとは異なる変身音が流れた。
「変身」
『
「……ないよりはあったほうがええな?」
『仮面バトラー、コンダクター』
「仮面バトラーマエストロや。よろしゅうな」
ムジカドライバーを仮面バトラーシステムバージョン3から仮面バトラーシステムバージョン4にアップグレードした仮面バトラーコンダクター。改め、仮面バトラーマエストロ。赤い
「音楽の力は、通じなかっただろう?」
「ちゃうちゃう。それは前までのウチ。今は、シンボリックエナジーっていう光の力で戦うようになったんよ」
望月
「オクタン!」
「ぷえ?」
「共に戦え!」
「ふつーにいやなんだけど。おにいさんの味方になりまーす」
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