第2話 悪役転生
ブクブクッ
太陽の光を意図的に遮っているような、真っ暗な部屋の中。
コンピューターの光だけがチラチラと光っている。
ボクは死んだ筈じゃ‥‥
白衣を着た老人がこっちを見て何か言っている。
ボクは何か円柱状のガラスの中に居るようで、白衣を着た老人が何か言っているが分からない。
ガラスが反射して自分の姿が写る。
体は幼児ぐらい。
口には何か取り付けられており、手足は固定されている。
かろうじて目は開けられるが視界がボヤけている。
これは水か、円柱状のガラスのなかは得体の知れない水溶液でみたされている。
ブクブクッ
白衣を着た老人は何か喋った後、コンピューターを操作して、どこかへ行ってしまった。
ああ、何か意識が遠のいていく感じがする。
必死に抗うが、まぶたが重く開き続けるのがつらい。
まぶたがどんどん下がってしまう。
めんどくさい。
諦めよ‥う‥。
異世界転生
もし、この現象が自分の身に起こったら、みんなはどんなことを最初に思うだろうか?
驚きだろうか?
それとも感動?
ボクは安堵だった。
ボクがこの世界を認識したのは、3歳の時だった。
最初に見たものは、両親。
優しそうな両親の顔を見たら、自然と涙が溢れてきた。
両親の顔をみてこう思った。
やっと普通の生活が出来そうだと。
そこで、気づいた。
前世では、どれだけいじめられても、どれだけ両親に見放されても、笑っていた。
それは強がって大丈夫な振りをしていただけで、心は傷ついていたということを。
ズキッ
頭が痛い。
これは何か研究室のようなところにいた記憶だ。
多分、転生の影響で頭に負荷がかかっているのだろう。
ズキッ
まただ。
きっとこういう痛さを頭がカチ割れそうだ。
と言うのだろう。
また記憶が頭に流れ込んで来る。
今度はマスターの顔だ。
マスターに命令される。
ボクは動く。
ん、マスターって何だっけ?
転生したばかりで疲れているのだろう。
もういい寝よう。
今年で7歳になるボクは、幸せな生活を送っていた。
仲の良い両親に2歳年下の妹そして友達。
前世に無かったものを埋め合わせるように、ボクの生活は幸せだった。
家族に、友達。
ボクが求めていたことが其処にはあった。
ここなら、ボクは前世の分まで生きることが出来る。
もし神様がこの世界にボクを転生させてくれたのなら
感謝しないと、と思うほどだった。
そんなこんなで時はたち、狩人養成学校に入ることが出来る12歳になった。
狩人養成学校に入ると、寮生活になり両親や可愛い妹と会える時間が少なくなる。
しかし、学校には友達のアレックスもいるし、リリー、フィオも一緒にいる。
大切な友人だ。
ああ。
そうだ。そう、そういえば言い忘れていたが、僕が転生したこの世界はモンスタースレイヤーズの世界だったのだ。
ちなみにボクの名前はウルド。
うん、うん。
みんなが言いたいことは分かるよ。
お前が嫌いな外道のウルドじゃないかってことだろ。
ボクも本当だったらアレックスに転生したかったよ。
でも安心して欲しい。
このウルドってキャラクターは闇落ちするまでは全然悪いキャラじゃなかったんだよ。
何なら闇堕ちする前はアレックスの親友だったんだ。
だから闇堕ちさえ、しないようにすればいい。
ウルドは妹のニーナを自らの手で殺してしまい、それで闇堕ちするらしいんだ。
らしいというのはアニメでもしっかりとした描写が無かったからなんだ。
ネットでは、狩人の活動中に妹がモンスター襲われて、力があれば妹救えたのにと自分の力不足のせいで妹を死なせてしまったと考えて、自分のせいにしているのじゃないかみたいな考察があったな‥
まあともかくとして、ボクは自分が闇堕ちしてアレックスと敵対したり、アレックスの恋人であるリリーを殺さないようにしなくてはならない。
今ある幸せを守るため、家族や妹であるニーナを死なせないようにするため、そして前世のボクのような人を救う為にも、ボクはトップスレイヤーになるんだ。
ウルドはそう心に誓うのであった。
短いですが、キリがいいのでここまでで。
ぜひ作品のフォローと評価お願いします🙇
モチベが変わります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます