第7話

「これはうっすらおぼえてますよ。ばあちゃんからもらったんです。どものころ、このレンズでよくあそんでた。ちょうどきみぐらいのころだった」

 自分じぶんったことに不思議ふしぎ感覚かんかくがあった。そう、ちょうどかれくらいのころおれはこのレンズであそんでいたんだ。大切たいせつおもだったのに、なぜいまのいままで詳細しょうさいをすっかりわすれていたのだろう。

太陽たいようて、まぶしくてなみだるのに、何度なんどもやってた」かれった。

「そうそう……。満月まんげつだとそんなにまぶしくはないですね」

 レンズにうつった四角しかく満月まんげつしろかがやいている。

「これじゃ、なみだないね。はあ、もう一度いちど太陽たいようたい」かれおなじようにレンズで満月まんげつながめていた。

「せっかくねむくないしこのままあさまできていようよ」レンズからはなおれった。

「ここはあさにはならないよ。ずっとよるだ」かれ満月まんげつたままった。

「まじかよ」おれはネックレスをとした。

 おれはネックレスをひろげようとかがんだ。

 まただ。不思議ふしぎ感覚かんかくなにかをおもせそう。もうちょっとであたまからなにかがこぼせそう。ネックレス、太陽たいよう、レンズ、記憶きおく忘却ぼうきゃく……。

 かがんだついでにあたまさかさにして、またしたからのぞくように少年しょうねんた。少年しょうねんえた。不思議ふしぎそうなかおでこちらをている。

 ……。

 姿勢しせいもどし、少年しょうねんのほうをくと少年しょうねんはやはり不思議ふしぎそうなかおでこちらをている。

 もう一度いちどまたしたから少年しょうねんる。さかさまになっていない。

「さかさまにならない……」

少年しょうねん! ちょっとおれおなじようにしておれてください」

「はあ? なにってるの?」

「いいからやってみてください。たのむ」

「わかったよ」少年しょうねんがり、あたまをかがめておな姿勢しせいでこちらをた。

「どう?」おれった。

「どうって?」かれった。

おれはどうえている? さかさまにえていますか?」

 少年しょうねんはようやくがついたようだった。くちおおきくけた。

「さかさまになってない!」

 少年しょうねん姿勢しせいただし、おれのそばにった。

「どういうこと?」

おれたち二人ふたりかえれるかもしれない」おれった。

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