ESCAPE④ 羽越連続殺人事件

第10話

**第1章: 容疑者の選出**

**シーン 4: 小林英樹の家**

結城誠が小林英樹の家に到着すると、湖の近くにあるこの家は古びた漁師の家らしい風情を持っていた。結城がノックをすると、外から漁師の装束を身に着けた中年男性が出てきた。

**小林英樹:** 「いらっしゃい。結城さんですね？どうぞ、中へどうぞ。」

結城誠は、簡単な挨拶を交わしてから小林英樹のリビングに通された。部屋には漁具や釣り道具が所狭しと並んでいる。

**結城誠:** 「小林さん、田村正義さんの溺死事件についてお伺いしたいと思います。」

小林英樹は、コーヒーを淹れながら話を始めた。

**小林英樹:** 「ああ、田村さんのことか。湖で溺れたという話を聞いて、驚いたよ。田村さんには何度か釣りを手伝ったことがある。」

**結城誠:** 「田村さんとはどのくらいの付き合いがあったのですか？」

小林英樹は、コーヒーを一口飲んでから答えた。

**小林英樹:** 「ここ数年のことさ。彼は湖の近くの宿泊施設に宿泊して、釣りを楽しんでいたんだ。何度かお話ししたこともあるが、特に問題があったわけではないよ。」

**結城誠:** 「それでも、何か気になることはありませんでしたか？例えば、田村さんが何か悩んでいたとか。」

小林英樹は、少し考え込んでから言った。

**小林英樹:** 「うーん、正直言って、彼が何か悩んでいるようには見えなかった。ただ、最近は少し疲れている様子だったかな。それに、湖での事故のことを気にしていたみたいだけど…。」

結城誠は、その言葉をメモしながら、次の質問を考えた。

**結城誠:** 「湖での事故というのは、具体的にどのようなことをおっしゃっていたのでしょう？」

小林英樹は、目を伏せて考え込みながら答えた。

**小林英樹:** 「確かに、田村さんは湖の深いところで何かにぶつかったと話していたことがある。まるで何かに引っかかるような感覚があったと言っていたな。」

結城誠は、さらに詳細な情報が必要だと感じながら、小林英樹に感謝の意を示した。

**結城誠:** 「ありがとうございました。お話を伺えて助かりました。もし他に気になることがあれば、どうぞご連絡ください。」

小林英樹は、結城を見送ると、再び漁具に戻っていった。結城誠は次に向かうべき場所、中村理恵の家へと向かう準備を整えた。

**シーン 5: 中村理恵の家**

結城誠が中村理恵の家に到着すると、豪華な邸宅が立ち並ぶエリアの中でもひときわ目を引く家だった。結城がベルを押すと、家の中から中村理恵が現れた。

**中村理恵:** 「結城さん、お待ちしていました。どうぞ、お入りください。」

結城誠は中村理恵に招かれてリビングに通された。中村理恵は、華やかな装飾と高級感漂う部屋で落ち着いた表情を見せた。

**結城誠:** 「中村さん、田村正義さんの件でお話を伺いたいと思います。」

**中村理恵:** 「もちろん、どうぞ。」

結城は、さっそく本題に入った。

**結城誠:** 「田村さんとは親族とのことですが、最近のトラブルについてお聞かせください。」

中村理恵は、ため息をつきながら答えた。

**中村理恵:** 「はい、実は田村さんが亡くなった後、彼の遺産を巡って家族間でいろいろと問題が起きていました。彼が残した財産をどう分けるかで争いがあったんです。」

**結城誠:** 「その遺産問題が、田村さんの死に何か影響を与えた可能性はありますか？」

中村理恵は、目を伏せて静かに言った。

**中村理恵:** 「それはわかりません。ただ、彼の死が遺産問題を一層複雑にする結果になったのは確かです。誰かが彼の死を利用しようとしたかもしれません。」

結城誠は、これまでの話を総合的に考えながら、次の容疑者である加藤健司のもとへ向かう準備を整えた。

**シーン 6: 加藤健司の宿泊施設**

結城誠は、湖近くの宿泊施設に到着した。施設の外観は古びていたが、内部はきちんと管理されている印象だった。加藤健司が出迎えた。

**加藤健司:** 「いらっしゃい。結城さんですね？どうぞ、こちらへ。」

結城誠は、加藤健司の案内でオフィスに通された。加藤健司は、宿泊施設の管理業務について説明しながら話を始めた。

**結城誠:** 「加藤さん、田村正義さんの件についてお伺いしたいのですが。」

**加藤健司:** 「はい、どうぞ。田村さんはここに滞在していました。何か問題があったのでしょうか？」

**結城誠:** 「実は、田村さんの溺死について調査しています。あなたが管理していた宿泊施設での出来事が関係している可能性があります。」

加藤健司は、一瞬顔を曇らせたが、すぐに冷静な表情に戻った。

**加藤健司:** 「そうですか…。田村さんが宿泊していたとき、特に問題はなかったと思いますが、最近はおかしなこともありました。」

**結城誠:** 「どんなことですか？」

加藤健司は、少し考え込んでから答えた。

**加藤健司:** 「田村さんが宿泊していたとき、湖の近くで何か変わったものを見たと言っていたことがありました。特に気にしていなかったのですが、後で考えると気になる部分もあります。」

結城誠は、加藤健司の証言をメモしながら、各容疑者から得た情報を整理する必要があると感じた。事件の真相に一歩近づくための手がかりが、少しずつ明らかになってきた。次にどのような展開が待っているのか、結城は期待と緊張を胸に抱えながら、それぞれの証言を深く掘り下げる決意を固めた。