ESCAPE④ 羽越連続殺人事件

第3話

　結城は退職代行業で働いていた。ある日、彼は重大なミスを犯してしまった。依頼主の退職をスムーズに進めるはずが、うっかり相手の会社に間違った情報を伝えてしまい、事態は混乱の渦に。結果として、依頼主はトラブルに巻き込まれ、結城は上司から大目玉を食らう羽目に。心身ともにボロボロになった結城は、「もうやってられない！」と叫び、思い切って休暇を取ることにした。

　そこで、彼は以前の逃走劇を思い出し、気を取り直して再び羽越への旅行を企画することに決めた。「今度こそ、のんびりできるはずだ」と自分に言い聞かせながら、以前一緒に逃げ回った藤堂、美咲、そして佐藤警視正を再び誘った。

「また羽越か？」と藤堂は最初渋い顔を見せたが、結城が「今度はきちんとしたプランを組んだから、安心して」と説得すると、渋々承諾。美咲は「前回のリベンジだね！」と、何だかんだで楽しみにしている様子。佐藤警視正は「今回は本当に休暇を楽しめるといいな」と、淡々とした口調で応じた。

　彼らは再び羽越へ向かい、今度こそリラックスした時間を過ごそうと意気込んだ。まずは、あの騒動が起きた町を避けて、別の温泉地へ直行。「ここなら安全だろう」と藤堂が言い、みんなも同意。温泉でのんびりと過ごし、地元の美味しい料理を楽しんだ。

　しかし、結城はなぜか終始ソワソワしていた。前回の逃走劇の記憶が頭をよぎり、「また何か起きるんじゃないか」と不安を拭い切れない様子だった。それでも、仲間たちと一緒にいると少しずつ気分が落ち着いてきた。

　その後、4人は穏やかな風景が広がる羽越の観光名所を巡り、結城もようやく旅行を楽しめるようになった。しかし、運命は彼を放っておかなかった。ある小さな村に立ち寄ったとき、またしてもトラブルが発生。今度は村の祭りで、地元の長老たちに強引に祭りの準備を手伝わされる羽目に。結城は「これも何かの縁か」と諦め、全力で祭りを手伝うことに。

　祭りが終わった後、長老たちから感謝の言葉を受け、結城はようやく「もう何も起きないだろう」と安心した。4人は再び温泉に浸かり、疲れを癒しながら「次の旅行はもう少し普通の場所にしよう」と約束し合った。

　羽越での再挑戦は、一筋縄ではいかない展開となったが、結城にとっては前回よりも少しだけ穏やかで、ほろ苦い思い出として心に刻まれることになった。

　羽越地方の静かな町、豊かな自然と穏やかな風景が広がるこの地域は、最近突如として騒然となった。線路沿いの小道で発生した轢死事件が、町の平穏を脅かしていた。

　ある朝、地元の漁師が浜辺で不審な物体を発見する。それは、列車の轢死によって破壊された自転車の残骸と、近くの草むらに打ち捨てられたままの遺体だった。警察が駆けつけ、遺体の身元を確認するが、まだ情報は不明である。

　地元の刑事、佐藤浩一は事件の担当を命じられる。彼はまず、遺体の身元を特定するために調査を始める。身元が確認できたのは、近隣の農家で働く若い男性、田中修司だった。佐藤は、田中の家族や友人に話を聞くが、彼の死の理由が見えてこない。

　捜査が進む中、佐藤は目撃者として名乗り出た地元の高校生、佐藤健一から証言を得る。健一によると、事件当夜に線路沿いで奇妙な音を聞いたという。その音は列車が急停車する音であり、その直後に大きな衝撃音があったと述べる。

　調査が進むにつれ、佐藤は田中の周囲でのトラブルや問題を掘り下げる。田中が近くの工場で起きた労働争議に関与していたことが判明する。工場の管理者や労働組合のメンバーへの尋問が進む中、事件が単なる事故ではない可能性が浮上する。

　捜査が進むにつれて、田中の死が計画的な殺人であることが明らかになる。田中は工場の労働条件改善のために証拠を集めており、その証拠を持っていたことが分かる。事件の背後には、工場の上層部が絡んでいることが明らかになる。

　最後の捜査で、佐藤は工場の管理者が田中の証拠を奪うために、彼を列車にひかせる計画を立てたことを突き止める。管理者は、田中の証拠が公になることを防ぐために、巧妙な罠を仕掛けたのだった。

　事件の真相が暴かれ、管理者は逮捕される。町の人々はショックと悲しみに包まれるが、佐藤の努力によって正義が果たされる。田中の家族は、彼の死に対する納得を得ることができ、町は再び平穏を取り戻す。