神様と田舎暮らし
幟
第一章
第1話 田舎へ行こう
大学を卒業してすぐに就職した俺はそこで数年過ごし後輩もできて昇進もして順調な社会人生活を過ごしていた。
しかし人とは時に魔がさすものだ、今の会社で十分な戦力となっている自分はもっと環境のよく給料のいい会社に行けるのではないかと。
勢いに任せ転職した俺は見事に大失敗を犯した。その時には全く気にしていなかったというかわかっていなかったんだ。会社の質が上がれば人の質が技術の質が比例して上がっていく。
前の会社では上でもいい会社に入れば中もしくは下の評価になってしまい、わざわざ中途採用で受け付けるほどの魅力がないのだ。
山から転がり落ちる石のように自分の望んだ理想からはかけ離れていきその勢いは止まることはなくどんどんと速度が上がっていく。
気づいたときには、鬱持ちの無職となっていた。体は重く動くのもおっくうになってしまい部屋は汚れゴミはたまっていく。
俺はどこで間違えたのだろうか、上を目指したことか現状に満足しなかったことか、それとも落ちた先で妥協しなかったことだろうか。今考えても何が正解だったかわからない。
やる気の起きない毎日を過ごしている中、ある日なぜか調子が良くて久々に外に出ようと思った。久しぶりに風呂に入り体をきれいにした後身だしなみを整え玄関を出る。
一度も見ることのなかったポストは紙やら書類でいっぱいになっており、出かける前に一度整理をしようと開けてみると予想通り中の物が溢れ出し地面に散らばった。
片付けようと腰を下ろすと1枚の紙に目が留まる。
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鬱を治すには周りの環境を変えると良いと聞いたことがあったな。いまさら都会にこだわる必要もないしこれは運命の出会いだったのではないだろうか。俺の気持ちはもう固まっている。
「田舎へ行こう。」
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