フィロンの異世界七不思議

朽木桜斎

プロローグ

 僕の体がふわりと浮いたかと思うと、手首をぐいっと引っ張られた。


 そこには僕と同い年くらいの少年が、こっちを見ながらにこにこと笑っていた。


「ハルくん、こわがることはないんだよ? 僕の名前はフィロン。これから君を、素敵な世界へ案内しようと思う。七つの不思議な異世界なんだ。その先には永遠の夜が待っているのさ。決して終わることを知らない、永遠の夜がね」


 フィロンは僕の手を引くと、地平線も雲も飛び越えて、はるか夜空の彼方へと連れて行った。


 そして星屑もずっと小さくなったころ、最初の世界に降り立ったんだ。

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