第2話 1500円の演奏会に行った話②

演奏会に行く前はかなりのんびりしておりました。

何せ、地元なのです。


夫婦2人して、その日は家の中に転がっている時間が長かったです。

時間が来てようやく、めぼしい服を着たり、髪をとかしたりと、支度を始めました。


会場に行きますと、お客の皆様、お洒落な格好をなさっています。若干恥ずかしくなりながらも、新札の千円札を3枚、受付に「2人分の金額」ということで出しました。


2人して、会場外に出やすいように出入り口近くの席をとります。

たまたま、このホールの「出入り口付近」の席は、前から4列目でした。


いざ、演奏会が始まりました!

顔、近くありませんか?


吹奏楽の編成ですが、クラリネットの方、そればかりか後ろのパーカッションの方に至るまで、目が合うレベルではっきりと顔が認識できます。

指揮者の方が入って来られる時も、顔がバッチリ認識できましたよ。


わたしは大変目が悪いのですが。


前から4列目は恐るべき近距離でした。


そして演奏会は、第一部で外国の曲目、第二部で日本の民謡や坂本九さんの懐かしいメロディ。

ここまでで、1時間聴いております。


第三部が始まる直前、喉が渇いておりましたので、

一旦、ロビーでわずかな水分を口にふくみました。


内心、お手洗いももう一回行きたいのですが、

行ったら間に合いません。


第三部が始まりました。

そうしたら、冒頭から「アシタカが呪いを受けて、旅立つ」というシーンの音楽でして。


すなわち、映画音楽だったのです。


わたしがイメージしていたのは、「もののけ姫のテーマソング」でしたのに。


これは、もしかしたら相当な長丁場になるかと覚悟を決めました。


映画の場面場面をかいつまんでいる感じですが、30分経って、ようやく、「もののけ姫」の有名なテーマソングが奏でられました。

そこは中休みでしたが、まだ終わりません。

神様と人間との戦いがたっぷり音楽で描かれます。

登場人物はパンフレットによれば、

「アシタカ、サン、モロ、ナゴの守(かみ)、エボシ御前、シシ神、乙事主(おっことぬし)」と多数で、それまで司会をされていたアナウンサーさんが、それぞれのキャラを演じ分けつつも、ナレーションで物語を運んでいきます。


大迫力の、戦いの音楽です。

「もののけ姫」の音楽って、改めて聴くと怖いです。


そして、1時間が経ち、物語は終わりを告げました。


内心、ホッと安心してしまいました。

(ともかく、聴き終えた、聴き終えたよー。)と。


かなりの集中を要する演奏会でした。

もちろん、演奏者の方たち(指揮者の方が演奏終了後におっしゃっていたことによると、皆様、本業や学業がある中、厳しい練習をされてきた、とのこと)の努力には頭の下がる思いがいたしました。


生半可な気持ちで演奏会に行ったのですけれど、

「1500円の演奏会」って、これだけボリュームあるのですか?


というわたしのつい最近の体験です。






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