婚約破棄を告げられたループ令嬢は、実は溺愛されていたことを知る 〜私の想いは届かない〜

月橋りら

第一章 全ての始まりは

第1話 再び訪れた婚約破棄

「レティシア・ティアナ・エリオット。本日をもって、あなたとの婚約を破棄させていただきます」


ああ、今回もなのね。


私の目の前で、そう言い放ったのは婚約者であるアルフォンス・ジュリアン・イライザ皇太子だ。


しかし、いつもと違って隣にはどの令嬢もいない。前回までなら、常に隣に新しい令嬢を並ばせていたのに。


「…かしこまりました」

「申し訳ありません、ですが、私はあなたを愛せない」


ずっと好きで、でもあなたには私は映らない。

ああ、なんて虚しいんだろう。

どんなに優秀な皇太子でも、私を傷つけるのは厭わないのだ。


「馬車を出してちょうだい」


待機していた従者に声をかけた。

私は、今回はどこで殺されるだろう?

いつもなら、馬車に襲いかかってくるが…。


「お嬢様、到着致しました」


珍しい、家に着いてしまった。

こんなことは、前にも2度ほど経験した。

1つ目は家族から追い出され野垂れ死に、2つ目は家族から殺されたも同然だろう。

要は、どちらも家族から見放されるのがオチなのだ。


馬車を降りたところで、低い男の声がした。


「悪いが、死んでもらう」


知ってる、この声を…。


後ろから突き刺され、倒れる。

ちら、と後ろを見ると、やはり、黒いローブの男…。


ああ、今回もこうやって死んでいくのね。


家族が出てきたようだが、駆け寄る様子もなくただ冷めた目でじっと地面に横たわる私を見つめるだけだった。


ただ、寒いだけ。


そうして、今回の人生も、幕を下ろした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る