帰省

勝利だギューちゃん

第1話

「元気だった?」

「ああ。そちらは?」

「元気だよ」


小さいころ、父の田舎で夏休みを過ごした。

父は兄弟が多く、夏休みになるといとこが大集合する。

祖父母も出迎えてくれる。


いとこの歳はばらけているが、同世代の女の子がひとりいた。

同世代ということで仲は良かった。


今ならスマホとかでやり取りもできるが、当時はそんなものはない。


「ねえ、久しぶりにいかない?」

「どこへ?」

「駄菓子屋」

「いいね」


祖父母の家の近くに駄菓子屋があり、そこで買い物をした。

そこが唯一の娯楽施設だった。


だが、そんな時間は長くは続かない。

祖父母も亡くなり、田舎へ行く機会はなくなった。


あの女の子とも会わなくなった。


気が付いたら僕は、旅に出た。

懐かしの、あの田舎へ。


当時は、最寄り駅から車で3時間はかかったが、今は鉄道が通り近代化された。

当時の面影はなく、もう都会だな。


祖父母の家もなくなり、マンションが建っていた。

駄菓子屋はコンビニになっていた。


「あの子も、すっかりおばさんになっだだろうな」

「それは、お互い様でしょ」


振り返ると、そこには懐かしい顔があった。


「久しぶりだね、〇〇くん」

「久しぶり。〇〇ちゃん。どうしてここへ」


『あなたと、同じだよ』

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帰省 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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