第十部
第135話 孤島での生活
クリス達が立ち寄った孤島に住む
怪鳥の襲撃は時折あるが、
「そろそろ怪鳥の討伐を始めましょう。」
「そうね。ジゼル君の参加は必須として、護衛のために神殿騎士を何名かと、案内役として
「
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聖なる山の麓までは森林の中を進み、山に着いてからは岩陰に隠れながら慎重に進んだ。上空を飛ぶ怪鳥に見つかる危険は避ける必要がある。一行は常に周囲を警戒し、怪鳥が現れると山の
「あっちに怪鳥の
先行していたルルの従者が知らせる。
「ジゼルの光は目立ち過ぎるのよね。明け方まで待ちましょう。」
ルルの提案に従って一行は怪鳥の巣の上方へ移動し、そこで明け方になるのを待った。怪鳥の
「今よ。」
ルルがそう言うと同時にジゼルは紋章を光らせながら
「他の怪鳥の動きはどうなの?」
ルルが従者に聞く。
「今のところ大丈夫そうですが、ここに止まるのは危険です。一旦、岩陰に隠れましょう。」
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半刻ほどして他の怪鳥が来ないと判断してからジゼル達は討ち取った怪鳥の巣に戻っていた。2羽の怪鳥は動いていなかったが、最初に討ち取った怪鳥の足元に幾つかの卵があった。ジゼルが討ち取った際に暴れたので殆どの卵は踏み潰されているが、1つだけ踏み潰されずに残った卵があった。かなり大きな卵。卵が孵れば人間の赤子ほどの大きさになるだろう。ジゼルとルルが物珍しそうにその卵を見ていた。
「ねぇジゼル、この卵はどうしようかな?」
「食べられるかも知れない。持って帰ろう。」
「そうね。」
(ピキピキ...パリン)
ジゼルとルルが話していると、卵の上部が割れて、怪鳥の雛が顔を出した。雛はピヨと鳴いてからジゼルとルルを見ている。少し間をおいて、雛はもう一度ピヨと鳴いた。
「ジゼル、私はこの雛を食べられないわ。可愛すぎる。」
「でも危険だ。成長すれば怪鳥になるんだから。」
「ちゃんと躾ければ大丈夫よ。」
ルルは持っていた干し肉を小さく千切って雛に与えてみると、雛はそれを丸呑みにした。
「う〜ん。じゃあ族長が良いと言ったら...」
「決まりね。お父様は優しいからきっと認めてくれるわ。」
ルルは雛を卵から取り出すと、その雛を抱えてさっさと山を降りて行ってしまった。
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それからもジゼル達は怪鳥の討伐を続け、島で怪鳥を見る事は無くなった。絶滅できたかどうかは分からない。だが成鳥は居ないだろうと判断された。
ジゼルとルルが拾った雛は、族長のルーベルが渋々ながら飼う事を認め、専用の飼育小屋で飼われ始めた。餌は小型の野鳥や魚など何でも食べた。かなり賢い様で、躾ければ人や家畜を襲う事はなく、ルルが芸を教えると直ぐに出来る様になった。数ヶ月もするとジゼルやルルと同じ大きさになり、飛ぶ事も出来たが、どこかへ飛び去る事はなく、必ずジゼルかルルの元に戻って来た。幼鳥はヨナと名付けられた。
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