第73話 頼もしい仲間たち

ジュード達の高等学校の成績は一時的に落ちたが、その後の試験で挽回し、マリリアはBクラス、ジュードはCクラスを維持した。イェリアナとシルリラは交換留学生という事で初めからAクラスのままだった。


反乱後に王家が得た領地を誰が管理するのかという課題があった。一部は反乱討伐で功績のあった者に与えたが、それでも残った領地は多い。反乱に加担した民衆の管理も悩ましい問題だった。ジュードやマリリアに任せてはどうかという意見もあったが、若年である事と実務を任せられる者がいない事を理由にジュードとマリリアは断った。


それで白羽の矢が立ったのが英雄王ジークの次兄と妹夫妻の家だった。どちらも既に故人で、次世代が後を継いでいた。反乱討伐で功績があった訳ではないので、領地として与えるのではなく、各地の代官の統括役に任じ、王家や国庫とは分けて会計管理する事になった。マルス王としてはジュードやマリリアの代理人として統括役を任じたつもりで、その事は統括役に任じられた当人にだけ伝えられた。


ジュード、ガイ、クリス、それにマリリアも加わって王宮の近くにある修練場で武術訓練するのが日課となっているが、最近はイェリアナとシルリラもそれに混じって神装具の訓練をする事が多くなった。ジュード達は各々で訓練し、それが終わってから近くの斜面に腰を下ろして休憩する。この日も訓練後に休憩していた。


「反乱の時はあまり役に立てなかった。マリリア達に任せてばかりだった。」


「それで良いのです。ジュードはもっと私達に頼って下さい。それに侯爵家では私を守ってくれたじゃないですか。」


「そうよ、私達もちゃんと役に立てるんですから。」


「そうですよ。私もジュードのお役に立ちたいです。」


「そうだな、これからも頼む。」


修練場を吹き抜ける風に例年より少し早い春の気配を感じた。その風を全身で感じながらジュードは空を仰ぎ見た。



第五部 完

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