第62話 マリリアのライバル登場

ジュードとマリリアが第2学年に上がって3ヶ月が過ぎた。毎月末の試験結果は二人とも優秀で、それぞれ1つずつ上のクラスへ移っていた。学校内でもマリリアの遠慮はなくなり、体を寄せてくる事が多い。この日も昼食休憩で食事している時にマリリアはピタリとジュードに体を寄せていた。その二人の前に一人の女子生徒が現れた。腰に手を当て、ふんぞり返っている。よく見るとその女子生徒の後ろに隠れてもう一人いた。


「あなたがジュードね、ずいぶん探したわ。私はイェリアナ、お祖母様にあなたと決闘しろって言われて来たの。」


「ちょっと、決闘じゃなくて結婚でしょ。あっ、私はシルリラと言って、いちおう私も結婚希望です。」


「私は弱い男に嫁ぎたくないの。だから結婚の前に決闘よ。」


「イェリアナとシルリラだったかな、少し落ち着こうか。俺は隣にいる女性、マリリアと言うんだが、彼女と婚約してるんだ。」


「婚約って事は未だ結婚してないって事よね。じゃあ可能性はあるわね、よかった。」


「大人しく聞いていれば、何ですかあなた達は。急に現れて結婚するなんて、ジュードは私の婚約者なのだから誰にも渡しません。」


「じゃあ先ずはあなたと決闘しましょう。」


「いいですよ、逃げる訳にはいきませんから決闘をお受けします。」


「3人とも、もう喋るな。ここは目立ち過ぎる。イェリアナとシルリラは午後の授業が終わってから改めて話を聞く。マリリアも同席してくれ。いいね?」


ジュードがかなり強い口調で言ったので3人とも大人しくなり、それぞれ午後の授業を受けに教室へと向かった。そして授業が終わり、校舎の一角にある四阿で話を聞いた。


イェリアナはイェルシアの孫、シルリラはシンシアの孫、どちらもジークの血を引いていると言う。後でホドムに調査をお願いするが、おそらく嘘ではないだろう。二人ともジュードがジークの転生体だと知ってジョルジアに送り出されたらしい。この高等学校へは交換留学生という制度で来ているという。


しかも二人ともミケと同じ紋章の精霊を連れていた。イェリアナは識者の精霊であるシャムを、シルリラは愚者の精霊であるトラを連れている。つまり二人とも紋章を持っている事になる。これは偶然なのか? 久しぶりの再会にはしゃぐネコ3匹を余所に4人は話を続けた。


「率直に聞くけど、二人はどうして学校に来たんだ。」


「私はイェルシアお祖母様にあなたとの結婚を命じられたの。王女の私に選択肢はないわ。どうするかはお祖母様と話をしてよ。」


「あの〜、私シルリラは母に言われて来たのですけど、少し事情が違います。勇者の紋章を持つ者が現れたという事は、何か悪い事が起きるのかも知れません。だから勇者の側にいなさいと母に言われました。」


「また魔神の様な脅威が現れるという事かしら。気になります。私はどんな事があってもジュードの側で支えますけど。」


「俺もシルリラの母の言う事が気になる。何が起きそうなのか確認しよう。手掛かりがあるとすればスーベニアの隠者ミリアのところだろう。合わせてイェリアナとシルリラの紋章の修行もミリアにお願いする。結婚云々の話はその後だ。」


ジュードの提案に3人は頷いた。

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