第44話 ひと休み:イェルシアとネコ
王宮の中をフラフラと飛び回るミケをイェルシアは目で追っていた。ミケの見た目は、蝙蝠のような羽が無ければ普通のネコと同じ。ネコの様に欠伸をし、背伸びし、毛繕いする。
「ネコよね?」
イェルシアはミケに聞こえない小さな声で呟く。
ミケの厄介な点は、壁でも何でもすり抜けてしまう事だった。だから着替え中の部屋に入り込んだり、浴室に入り込んだり、時にはトイレ中に現れたりする。それにミケの体は誰にも触れられないから、追い出す事が出来ない。ミケは自由気ままに飛んでいるだけで、こちらを気にしている様ではなさそうだが、覗かれてるイェルシアとしては気が休まらない。
最近ではミケと同じ姿形のネコが2匹増えた。現れた時に識者と愚者の精霊だと名乗ったが、ミケとは模様が違う。シャムネコに見える識者の方をシャム、トラジマの愚者の方をトラと心の中で勝手に名付けた。ミケと新参の2匹は、体を寄せ合って寝ている時もあれば、喧嘩してネコパンチをする時や、それぞれ別々に行動する時もある。
試しにミケの近くで毛糸玉を転がしたら、ミケは必死に追いかけていた。
「やっぱりネコね。」
ネコだと認識してから、イェルシアは覗かれても気にならなくなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます