騎士爵家三男坊の立志伝 〜The wind blowing through the kingdom〜
裏庭ジジイ
第一部
第1話 幼馴染との再会
辺境の農村地帯を風が吹き抜け、実り始めた
農村地帯の中にあるやや高い丘の中腹に一人の青年が腰を下ろしていた。青年の名はジーク。アルムンド騎士爵家の三男坊で、近隣一帯の
「そろそろ行くか。」
事前に手紙で知らせているので家族が自分の到着を待っている筈だ。あまり待たせては申し訳ない。ジークは
その途中、街道を東から走ってくる馬車が見えた。その後ろを5騎の騎馬兵が追いかけている。馬車を
馬車の近くに辿り着き何事があったのかと声を掛けようとしところでジークに向けて矢が飛んできた。問答無用で矢を射掛けてくるとは...矢を避けながら反射的に矢が放たれた方向へナイフを投げる。騎馬兵は剣が4に弓が1。ジークが投じたナイフに驚いて弓兵が落馬したのを確認してから、残る4騎に向かって駆け出した。
騎馬兵は黒塗りの
騎馬兵達が遠くへ去ったのを確認してからジークは父と長兄に手を挙げニコリと笑った。長兄はジークの姿を見て驚いたようだが、直ぐに笑顔で隣に馬を寄せ、元気だったかと言いながらジークの肩を叩いた。父も長兄に続いてそばまで来て、優しい笑顔をむけた。そうやって3人が久しぶりの再会を喜んでいると、ふいに馬車の方から若い女性の声がした。
「もしかしてジーク? あぁ、会えて良かった。」
声の方を見ると、幼馴染のシンシアと、昔から彼女に付き従っているメイドが馬車のそばに立っていた。2人とも怪我などは無さそうだ。シンシアは
「久しぶり、無事で良かった」
ジークは馬を降り、幼馴染へと向かって歩き始める。その姿を真っ直ぐに見つめるシンシアは以前とは違って大人の雰囲気を
麦畑に吹く風がジークの横を通り過ぎて行く。汗ばんだ首筋がヒヤリとした。
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