1PV=1銅貨で暮らす異世界生活~気にくわない奴は片っ端から、空想ざまぁしてやる。いつか本当にざまぁできる日を夢見て~

喰寝丸太

第1話 異世界転生

 車に跳ねられたら、森の中だった。

 えっと証拠隠滅のために捨てられた。

 着ていた服もボロボロになっている。

 持ち物はなし。


 不思議なことに髪の毛も髭も伸び放題。

 どういうことで、どういうつもりだ。

 どんな目的が。

 わけわからん。


「ウォォォン」


 遠くで狼の遠吠えみたいなのが聞こえる。

 そして、ドスンドスンという重たい足音がして、真っ赤な鬼がちらりと見えた。

 身長は3メートルを超えていると思われる。

 ここは地獄なのだろうか。

 そらを見るとドラゴンみたいなのも飛んでいる。


 白い月が2つ見えた。

 地獄にしても月をふたつにする意味はないだろう。


 とにかく逃げないと。

 もう必死に歩いた。

 足は棒になり、喉はカラカラ。

 水を貰えるなら1万円払っても良いとさえ思える。

 幸運なことに道が見えた。

 獣道かもしれないが、この道に懸けることにした。

 道を行くとやがて、森は消え草原になって、街道と呼んで良いような大きな道に出た。

 遠くに馬車が走っているのが見えた。


 異世界確定かな。

 この現代社会に馬車はほとんど使ってないだろう。


 馬車は段々と近づいてくる。

 横に来た時に。


「助けてくれ!!」


 もうこれ以上大きな声は出せないぐらいに大きな声が出せた。

 だが、無情なことに馬車の御者は俺に目をやると、馬に鞭をくれた。

 スピードが上がる馬車。

 その様子を俺はポカンと見ていた。

 えっと、たまたま薄情な人に当たったんだ。


 気を取り直して歩く。

 また馬車が来た。

 だが反応は前と同じ。


 来る馬車、来る馬車、停まってはくれない。

 そして日が暮れる前に、何とか街に着けた。

 城壁がある街だ。


 きっと今までみた怪物達に対抗するための城壁だろうな。

 人が並んでいるので俺も並ぶ。


「野菜の売れ行きが悪くて困ったぜ」

「ああ、うちとこもだ」


 会話は日本語ではないのに、意味がはっきり分かる。


「ええと、こんにちは」


 思い切って、現地語で前の人に話し掛けてみた。


「こんにちは」

「街に入るには何が必要なのかな。持ち物をなくして、記憶もあやふやなんだ」

「モンスターにやられたのね。怖かったでしょう、でも命があるだけましよ。街に入るには足税の銅貨3枚が必要。ただ、モンスターに襲われた人は特例があったと思うわ」

「ありがと」

「どういたしまして」


 噂話に耳を傾けて、俺の番を待つ。


「初めてだな」


 道具を向けられた。


「はい、モンスターに襲われたんです」

「けっ、どうせ他所の街で食い詰めた浮浪者だろう。だが規則は規則だ。初めてくる人間でモンスターに襲われた奴は保護しなきゃならない。通って良いぞ。とっととスラムにでも行け。全く悪法だよな」


 俺は蹴飛ばされた。

 くっ、ハードモードも良い所だ。


 一日食ってないだけだが、何日も食ってないような感じがする。

 フラフラと料理の匂いがする方向に歩く。

 露店があるが金はない。

 盗んだら、今の体力じゃ、ボコボコにされて終わりだろうな。

 クラクラしてきた。

 あてもなく歩き、檻が沢山ある場所に出た。

 もう限界だ。


 俺は檻の前で倒れた。

 液体が垂れて、頬を濡らす感覚があった。

 小便でも構うものか。

 舐めたが水だった。

 顔の向きを変え、貪るように垂れてくる水を飲む。

 いくぶん力が戻った感じがある。


 そうしたら、目の前にパンが転がってきた。

 どこに力が残ってたという状況なのに、飛び起きてパンを食う。

 俺は、それを施してくれた人を見た。


 彼女は、顔の半分が焼けただれ、片目が無かった。

 手の指も何本かがない。

 そして、指の関節は、歪な方向へ曲がってた。

 足は両足が無かった。


「怖がっても良いのよ」

「怖くはないよ」


 ここまで酷くはないが、日本でもそういう人は何度か見た。

 病気だったり事故だったり、事情は様々だが、気味悪るがったり、怖がったりするなんて失礼だ。


「そう変わっているのね」

「君はどうして檻の中に?」

「色々あったのよ。あなたも色々あったんじゃない?」

「知識がないんだ」


「そう。何を知りたいの」

「まず、生きていくうえで絶対に知ってないといけないこと」


「ステータスの出し方かな。スキル語でステータス・オープンって言ってみて」

「こうかな【ステータス・オープン】」


――――――――――――――――――――――――

名前:健司・金子

レベル:1

魔力:5/5

スキル:

 カクカク[ ]ⓘ

――――――――――――――――――――――――


 ステータスが出た。


 スキルがひとつある。

 カクカクの名前と青地に白の[ ]のロゴには見覚えがある。

 ただ俺の知っているのは名前もロゴも少し違う。


 似てたのは小説投稿サイトだ。

 それは書いたり読んだりのサイトだった。

 俺はそこの読み専だった。

 カクカクの横のⓘをタッチする。


――――――――――――――――――――――――

 さあ、大いに書きましょう。

 書くことが全て。

 ☆によるスキル購入ⓘや、PVに応じてリワードⓘが貰えます。

――――――――――――――――――――――――


 読むことが出来ないのかよ。


 スキル購入の横のⓘをタッチする。


――――――――――――――――――――――――

 貰った☆でスキルを購入できます。

――――――――――――――――――――――――


 ええと最初は当然☆はゼロだよな。


 リワードの横のⓘをタッチする。


――――――――――――――――――――――――

 1PVにつき銅貨1枚、1イールを獲得できます。

――――――――――――――――――――――――


 お金の単位はイールね。

 換金率高し。

 これは良い情報だ。

 銅貨1枚で何が買えるか分からないが、飢え死にだけはしないはず。


「俺はケンジ。君の名前を聞いて良い?」

「デシーラよ」

「デシーラ、また来るよ」


 そう言って俺はその場を後にした。


「【カクカク】、よし執筆開始だ」


 異世界に来てから、ここまでの経緯を書いた。

 PV10は行って欲しい。

 ☆も3個は欲しい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る