お金持ちの幼なじみになんて負けません

@PrinzEugen

第1話 プロローグ

ここは海辺にある少し頭のいい生徒が集まる普通の高校。全校生徒は500人前後で、俺、高橋 陽斗(たかはし はると)もその1人である。


暖かい春も過ぎ去り、日差しも強くなってきた夏今日この頃。もういってる間に夏休みが来るその前に……


「なぁ陽斗ぉノート見せてくれよぉ」


情けない声でフラフラと現れたコイツは松山聖華(まつやま せいか)。この高校でできた友達だ。

まったく勉強ができないうえに頑張ろうと努力もしない、根っからのダラケ魔だ。


「前にも見せただろ?その結果、白紙のお前のノートと涎まみれの俺のノートが出来たじゃないか。それでテスト頑張れ」


「それは悪かったって!かわりに昼飯分のお金あげたじゃん!」


パン1つとジュース1本分だけだったけどな。まあ昼飯は自分で弁当作ってるからそのまま懐に入れたけど。


「あら、困っているのなら私が手伝ってあげましょうか。松山さん?」


げっ…と面倒くさそうな声を出す聖華。その視線の先には、


「頼むつぐみ。だが、こいつを手懐けるのには少々手が焼けるぞ」


「私にかかればただの子犬よ。ついでに貴方もどう?子猫ちゃん?」


少し痛いこと言ってるこいつは斎藤つぐみ(さいとう つぐみ)。しかし彼女が多少痛い発言しても様になるってものだ。


日本でも有数の財閥の令嬢。その娘のひとりが彼女、斎藤つぐみなのである。なぜこんな高校にいるのかは分からないが、曰く、庶民の生活を知るのも1つの社会勉強らしい。


「すまないが俺はパス。あとコイツは貰ってくぞ。もう昼休みが終わる」


聖華の手を引き、教室に戻ろうとする。聖華はつぐみに向かってベーっと舌を出し挑発する。やめなさいはしたない。


「ふぅん……」


何も言わず引き下がってくれるつぐみに感謝しながら教室に戻る俺は、彼女らとの関係性を思い返していた。



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